25.躱せ ページ25
「あの」
「?」
「次こいつにトス上げるんで、全力でブロックしてください」
「「!?」」
「手の内晒すなんて、王様ついにとち狂ったワケ?」
「なんだぁ挑発かぁ?」
「ハイ挑発です!ナメたマネしてすみません!!」
「ははっ、お前おもしれーな!よっしゃ挑発のったるぜ!」
「あざす!」
突然ネットを挟んだ相手チームに対して、自分たちの次の攻撃を予告し、挙句全力で止めてほしいとお願いをする影山に全員が驚いた。
なんの考えもなくこんなことをするタイプではないため、きっと影山なりに何か考えがあるのだろう。日向の方へと向き直り、日向は先ほどのこともあるからか、困惑と気まずさが入り混じった表情で影山と対峙している。
「今のお前は」
「?」
「ただのちょっとジャンプ力があって素早いだけの下手くそだ。大黒柱のエースになんてなれねぇ」
「…!」
「ちょ、ちょっと」
「おい影山」
「でも、俺がいればお前は最強だ!」
「!?」
「東峰さんのスパイクはスゲー威力があって3枚ブロックだって打ち抜ける。じゃあ、お前はどうだ?俺のトスがお前に上がった時、お前がブロックに捕まったことがあるか」
「…っ!」
そして審判の笛が鳴り、烏野町内会チームのサーブが打ち込まれる。縁下から綺麗に上がったレシーブに、町内会チームはすぐに日向をマークした3枚ブロックの体制になる。
「躱せ!それ以外にできることあんのかボケェ!!!」
「…躱す」
「!?」
「ハァ!?」
『これ、青葉城西との練習試合でも見たブロードだ』
“打ち抜けないなら躱せ”影山からそう言われた日向は、自信が持てるスピードと瞬発力をフルに発揮して、マークされていた3枚ブロックを振り切り、あっという間に反対側へと飛び上がった。
まるで最初からそこに来るのがわかっていたかのように影山のトスは上がり、綺麗に相手コートへとアタックが吸い込まれていく。
「お前はエースじゃないけど!!そのスピードとバネと俺のトスがあれば、どんなブロックとだって勝負できる!!エースが打ち抜いた1点も、お前が躱して決めた1点も、同じ1点だ」
『影山くん』
「他のスパイカーはお前の囮のおかげで自由になる、エースもだ!!ね!?」
「はっ!?おうっ!お前の囮があるのとないのとじゃ、俺たちの決定率が全然違うんだぞ!」
「…」
「それでもお前は、今の自分の役割がカッコ悪いと思うのか!」
「…思わない!!」
「よし!!」
あぁ、やはりこの二人は出会うべくして出会ったのだろう。
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るき(プロフ) - 累さん» コメントありがとうございます。応援していただけると筆が進む気がします!またぜひ覗きにきてくださいね。 (3月16日 23時) (レス) id: e988f06362 (このIDを非表示/違反報告)
累 - めちゃめちゃ面白くて一気に読んでしまいました!更新大変だと思いますが、続きを楽しみにしています!! (3月16日 22時) (レス) @page16 id: 5643604c2b (このIDを非表示/違反報告)
るき(プロフ) - 狛さん» コメントありがとうございます。まだ全然キャラたちと絡むことができず焦っております…笑 またぜひ覗きにきてくださいね。 (3月16日 15時) (レス) id: e988f06362 (このIDを非表示/違反報告)
狛 - 題名見たとき「お、恋愛もんもんって感じするな〜」って思ってたら夢主ガチで面白いです(笑)キャラとの絡みが楽しみです!更新頑張ってくださいね! (3月16日 12時) (レス) @page16 id: c4f896039b (このIDを非表示/違反報告)
るき(プロフ) - ちびさん» コメントありがとうございます。とっても励みになります!ぜひまた覗きに来てくださいね。 (3月15日 18時) (レス) id: 6fb8554a8a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:るき | 作成日時:2024年3月12日 21時