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42-深緑狐 ページ42

「Aちゃんおった!今から時間ある?あるよな?」
「は、はぁ、先程警邏から戻ったので、報告書を纏めるだけですが……」
「報告書ってすぐ終わる?!終わらんやろ?!ってことで来て!!」
「終わりますが……?」

戸惑っているのを良い事に、腕を引いてつれていくのは談話室ではなくて俺のお気に入りの場所。予め用意していた道具の傍に椅子を置き、座るよう命じて濃い赤色の髪に櫛をそっと通す。一度だけ思い人に褒められたという髪はしっかりと手入れされていて、櫛も引っかかることなく通っていく。

「綺麗に伸ばしとるなぁ」
「あ、あの、第一外交官、これは一体……」
「俺のお遊びに付き合って欲しいめう。Aちゃんの髪、前見たときに綺麗やなぁって思って」

軍帽の中に収まっていたと知ったときはそこまで長くないだろうと思ったのに、軍帽を外し、左右に頸を振った時、ゆっくりと流れていくように解けていった髪。

「今までよく収まってたなぁ。今度から軍帽に入れんでもえぇんちゃう?編み込みにしてもかわえぇな」
「自分は、これからもこのままでいきます。メイド達の手を煩わせる訳にはいきませんし、こっちの方が訓練後にシャワーも浴びやすいですから」
「考えてる事が可愛くないめう……」

女の子らしいっていうのを押し付けるつもりは無いけども、なんかこう……JKとして、可愛くしたくなる衝動に駆られている。本人は迷惑でしか無いのだろうけど。

「他に誰が知ってるん?」
「兄様と軍曹様は自分からですが、医務室に担ぎ込まれた時に書記長と軍医様に」
「頑なに名前で呼ばんのな……らんらんは?」
「名前で呼んでいる方々は、上官命令ですから」

堅物の権化めう……ちょっとは他の幹部も見習って欲しいくらいめう……
堅物だから、からかいたくなるんよな。

「じゃあ、俺が“まんちゃん”って呼んでって言ったら、呼ぶ?」
「それは、命令ですか」

ほら、すぐに壁を作る。

「そ。命令」
「……まんちゃん」
「んふ、えぇな」
「ご満足いただけたのならもうよろしいですか。第一外交官」
「あー!!戻すって言ってない!」
「これからそう呼べとは一言も仰いませんでしたので」

軍帽を被り直しながら告げる彼は、少しだけ悪戯に笑っていた。

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紅鴇ベニトキ@pc垢 - ミツユキさん» 誕生日プレゼントとしてもう一話更新しました!大きく動いた回(?)となっております! (2020年7月6日 22時) (レス) id: a79284f49c (このIDを非表示/違反報告)
ミツユキ - 更新ありがとうございます。私の、最高の誕生日プレゼントになりました! (2020年7月6日 18時) (レス) id: c04652f79c (このIDを非表示/違反報告)
紅鴇ベニトキ@pc垢 - わぎゃあコメントありがとうございます!!コメント嬉しすぎて語彙力追い付かないです。現時点が今作一番の山場ですが、しっかりとハッピーエンドに向いますので!それまでもう暫くお付き合いくださいませ! (2020年7月5日 22時) (レス) id: a79284f49c (このIDを非表示/違反報告)
- コメント失礼致します。とても丁寧に作り込まれたお話で、私の語彙力ではこのお話の素晴らしさを言い表すことが出来ません…!軍パロ作品の中でも特に繊細に作られたお話だと感じました。これからも素敵なお話を楽しみにしています!長文失礼致しました。 (2020年7月4日 17時) (レス) id: 7cbe04ba0e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:紅鴇ベニトキ | 作者ホームページ:http  
作成日時:2020年2月17日 16時

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