43-水蛇 ページ43
「あ、お帰りAちゃん。なんか疲れてない？」
警邏活動から帰ってきただけで、そこまで疲れるん？て思ったけど、これはどちらかと言うと心労に近いのかな。思い当たる節が多すぎる。
「先程まで第一外交官に髪で遊ばれてまして……やっと解放されました」
「あぁ、そっち？！オスマンもJKだか知らんけど程々にさせんとねぇ」
げんなりとしていた理由が、外れたのは喜ぶべきか。
「これからどうするん？一応、幹部になったんやし」
「一週間以内に帰国せねばならないので、荷物を纏めます。幹部の席は、新しい適任者を宛がってください」
諦めの滲む声音に、雑面の下で唇を噛む。この子の言葉は、“もうここに帰ってくるつもりは無い”と言っているようなもんだ。家には帰らず、当ての無い思い人を探すために旅をするんだろう。
「一度くらい、我が儘言ってごらんよ。俺達は警邏部隊司令官の味方だよ？」
慰め、怒り、同情、言い表せない感情を飲み込んで、声に出さないようにして、切っ掛けを作る。切れ長の黒い瞳が、言葉に滲んだ。
「ほんとはッ、じぶんは……っ、家に帰りたくない、おやの勝手でしらないやつのところに、とつぐなんてしたくない……ここに、居たい！！」
「よぉし！しんぺい神頑張っちゃうぞ！」
それで良い。それで良いんだよ。
「って訳で、会議の議題は“A･グラナート･バグローヴィを実家と縁を切らせる”為に作戦を考えることね」
「ぺ神、バグローヴィは？」
「また仕事」
期限は一週間。その期間で策を練り上げて、当日実行できるように準備をしなければならない。
「あの、僕一つ案があるんやけど」
「ん？珍しいな大先生」
控えめに手を上げた大先生。だけど情報管理室長の彼なら、何かしらの名案は浮かんでいるんだろう。
「僕一人じゃ無理やから、みんなの力を借りたい。Aちゃんには内緒で、ぺ神、ごめんけど付き添いで僕とぺ神が行くってだけ伝えといてくれん？」
「おっけ。その策は完璧なんやろな？」
「やから、みんなの力を借りたいって言ってるやん……まずは」
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紅鴇ﾍﾞﾆﾄｷ＠pc垢 - ミツユキさん» 誕生日プレゼントとしてもう一話更新しました！大きく動いた回(?)となっております！ (2020年7月6日 22時) (
レス) id: a79284f49c (このIDを非表示/違反報告)
ミツユキ - 更新ありがとうございます。私の、最高の誕生日プレゼントになりました！ (2020年7月6日 18時) (レス) id: c04652f79c (このIDを非表示/違反報告)
紅鴇ﾍﾞﾆﾄｷ＠pc垢 - わぎゃあコメントありがとうございます!!コメント嬉しすぎて語彙力追い付かないです。現時点が今作一番の山場ですが、しっかりとハッピーエンドに向いますので！それまでもう暫くお付き合いくださいませ！ (2020年7月5日 22時) (レス) id: a79284f49c (このIDを非表示/違反報告)
碧 - コメント失礼致します。とても丁寧に作り込まれたお話で、私の語彙力ではこのお話の素晴らしさを言い表すことが出来ません…！軍パロ作品の中でも特に繊細に作られたお話だと感じました。これからも素敵なお話を楽しみにしています！長文失礼致しました。 (2020年7月4日 17時) (レス) id: 7cbe04ba0e (このIDを非表示/違反報告)
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