○ 31 猫 ○ ページ32
並中から家までの登下校路。
そこの道から少し逸れたところに、小さなスペースがある。
古びた自動販売機と、座れば音を鳴らす二人がけのベンチが並んであるだけ。
その上決して広いとも言えないので、利用する人はほとんど居ない。
私とたけくんは、いつもそこで待ち合わせをしていた。
人目を避けた、密会。
疚しいことをしていた訳ではない。
ただ、何でもない世間話で盛り上がり、別れを惜しみ、また会うことを楽しみにする、そんな場所。
小さいころは秘密基地、なんて呼んで遊んでたな。
告白されたのもここで、別れを告げたのもここだった。
にゃー、と野良猫の鳴き声がする。
穏やかな顔つきの虎猫だった。
その猫にももちろん見覚えがあって、そっと抱き上げる。
付き合いたての頃にふっとここに現れた猫だった。
二人で名前を付けて非常に可愛がったのを鮮明に覚えてる。
「ラット、久しぶりだね。」
名を呼べば再び声をあげた。
ラットを抱き上げたまま、ベンチに深く腰掛けた。
背もたれがないので壁に寄りかかる形になり、ひんやりとコンクリートが背を伝う。
餌は何も持ってなかったけれど逃げたりはせずにそばに居てくれる猫に、嬉しくなって何度も頭を撫でた。
そしてただ、ぼんやりと空を見上げて時が過ぎるのを待った。
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シキ(プロフ) - LNeさん» うんうん!ほんとほんと愛されてるよねぇ~(≧∇≦*)。゚(゚´ω`゚)゚。 (2018年3月21日 22時) (レス) id: 39df0bc08c (このIDを非表示/違反報告)
LNe(プロフ) - シキさん» わわわ、嬉しいです……!何年経っても愛されている素敵な作品ですよね! (2018年3月21日 19時) (レス) id: fbf0d21ea1 (このIDを非表示/違反報告)
シキ(プロフ) - LNeさん» 続きも今見てるんですけどもうーやばいですね!リボーン大好きなので!この話バリバリオススメしたいです!知り合いに(*´ω`*) (2018年3月21日 18時) (レス) id: 39df0bc08c (このIDを非表示/違反報告)
LNe(プロフ) - シキさん» コメントありがとうございます...!そう言ってもらえると励みになりますね〜!これからも応援の程よろしくお願いします! (2018年3月21日 18時) (レス) id: fbf0d21ea1 (このIDを非表示/違反報告)
シキ(プロフ) - バリバリいい作品ですね!頑張ってください! (2018年3月21日 18時) (レス) id: 39df0bc08c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:LNe | 作成日時:2018年1月13日 15時