【まふまふ】ホワイトデーの奇跡/鎖座波 ページ16
三年前のあの日。それはすなわち、彼と付き合い始めて約四年が経過したあるホワイトデーの日のこと。
あの日、私は彼から貰ったバレンタインデーのお返しを受け取らなかった。物が酷いのではなく、動機が当時の私にとってはあまりにも悲惨なものだったからだ。だからと言って今貰って受け取るか、と言えば受け取る気など甚だ無いが。
彼が私に渡そうとしたのはネックレスだった。そして、その時に言った言葉はあまりにも酷いものだったのだ。
“ごめんね。これで最後のホワイトデー。別れよう”
当時の彼が言っていることが冗談に思えず、私は泣きながら嫌だと否定して、別れたくないと懇願したものだ。
“何で別れようなんて言うの…ずっと一緒に居ようって言ったのまふじゃんか……！”
すると彼は困ったように好きな人が出来たから、なんて見え見えの嘘を吐いたのだ。
当時、私と彼は四年間も付き合っていたのだからそりゃあ何もかも知り合っていた。
何度も会って、何度も一緒に話して、何度も一緒に笑って、何度も夜を共にして＿＿＿
｢A？何でそんなぼけっとしてるの？｣
目の前で漫画を読んでた彼に言われた言葉にうっと声を漏らす。
考え事をしていたのに｢ぼけっとしてる｣とは……。
｢ちょっと昔の事考えてただけだよ。あっ、昔の事で思い出した。私たちもう付き合って七年は経つんだよ！｣
｢えっ！？そんなに経ってんの！？……ご、ごめん…僕全然分かんなくて…｣
｢ううん！そんなのぜーんぜん平気だよ！｣
なんて嘘だ。
三年前に彼から別れ話を持ち掛けてきたのに、彼はそれすら覚えていないんだ。
そんなの彼が悪いという訳ではないけれど、私は悲しくなってしまう。
それ所か、一昨日の事も、昨日の事も、今日の食事すらも覚えていない。
｢三年…かぁ…｣
｢ん？何が？｣
｢ううん！何でもない！｣
三年前、なんて別れ話をされたこと以外に他なかった。
それも、別れ話と共に私にとって最悪な事を聞かされたのだから。
彼の言う“好きな人が出来たから”という嘘が分かったので問い詰めると、私は更に涙が溢れて、更に絶望した。
“僕ね、若年性アルツハイマーらしいんだ。Aに迷惑掛けたくないから嘘吐いた”
そんな言葉、別れ話よりも遥かに辛いものだった。
絶対に聞きたくなかった。
我が儘だとは分かっていたけれど、何よりも彼が一番だったのだから当時の私は酷く落ち込んだし、彼と一緒になって一晩中泣き続けたのだった。
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雨上がりのcrew(プロフ) - ところで、甘味没収のときのセンラさんは夢主ではなく他の人と結婚をしていたのでしょうか、、、？隠し持っていた結婚指輪と書いてあったので、、、 (2019年7月16日 0時) (
レス) id: 11f12a305b (このIDを非表示/違反報告)
雨上がりのcrew(プロフ) - すごい。。。この作品私得←これからも更新頑張ってください！！ (2019年7月16日 0時) (レス) id: 11f12a305b (このIDを非表示/違反報告)
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