◇ ページ19
｢自覚が無い時点でヨリ戻すとか有り得ねぇよバーカｯ！！｣
そろそろ日付を越すような時間帯｡
人気のない住宅街の暗い夜道に私の叫び声が響く｡
黙って聞いてたらベラベラ喋る目の前の男にふつふつと怒りが湧いてくる｡
なんで愛してくれないの？とか､どれだけ自分勝手なのよ｡自分が満足されたら相手の事なんてどうだっていいわけ？そんな男御免だっての｡
お願いを断ったらTPO弁えないで泣き喚いて､記念日だからって恋人の体液が入った料理を食わされて､別れたいと言えば死ぬ死ぬと叫び出す｡
挙句の果てには刃を自身に当てて…､本当に馬鹿すぎて呆れてしまう｡
｢シャオロンは愛されたいだけで､あの時はたまたま私が傍に居ただけなの｡確かに好きだったけどもうそんな気持ちは無いし､これからまたあの気持ちが戻ってくることも無い｣
第一､またヨリを戻したら私がストレスで先に死んでしまうわ｡
トントンさんの腕を軽く叩き力を抜いてもらい腕から離れる｡
そしてシャオロンに近づき､カッターを持った震えた手を掴んでカチカチと刃を戻す｡
シャオロンと付き合っていた時は命の危険を感じる時が多かったけど､楽しい時だってあった｡
もっと一緒にいたいと思えるような時間があったけれど､それよりも耐えられないくらいの苦しみだってあった｡
それを言葉にしておけば｡
あの日きちんと伝えて別れておけばこんな面倒な事にはならなかったのだろうか｡
｢もう､私の周りには近づかないで｡それが私の答えだよ｣
｢嫌われたんか、俺｣
｢大嫌いだわ｡血液どんだけ味濃くしても分かるし本当に最悪だった｣
｢なんで血入れたの分かってたのに完食したん｣
｢そん時は､大好きだったからだよ｣
｢そっかぁ…｣
堪えてたのに､シャオロンの瞳からはぽろぽろと涙が溢れていく｡
私は拭うことはせず､カッターを奪って3歩退きトントンさんの傍に戻る｡
トントンさんは私を守るように警戒してシャオロンを睨みつけるが､彼からは気味悪さは消えていた｡
｢もうAの近くには現れんって約束する｡ほんまやで｣
｢別れたのに住所特定して目の前に現れて脅してきた男が言うことは信用出来ないかなぁ｣
｢ほんまやって｡でも､1個だけ最後に我儘言ってええ？｣
｢いいよ｣
｢あんな､俺と＿＿＿｣
それにふたつの言葉で返事をすると､トントンさんはほんまに危機感ないわ…と隣で溜息を零した｡
私には危機感なくても大丈夫な理由があるからね｡
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あきみかん(プロフ) - コメント失礼します。完結おめでとうございます！とっても面白かったです。またちょくちょく読み直しに来ようかな…。とにかく、こんな良い作品をありがとうございました…！ (2021年7月12日 22時) (
レス) id: 8016636dd6 (このIDを非表示/違反報告)
とかげ - 連チャンになってしまって申し訳ないのですが、完結おめでとうございます！！素敵な作品を生み出してくださり、どうもありがとうございました！！お疲れさまでした！ (2021年7月12日 17時) (レス) id: f7b3ff643c (このIDを非表示/違反報告)
rice。(プロフ) - とかげさん» コメントありがとうございます〜！熱量が伝わるコメントとても嬉しいです！無理のないよう最後まで駆け抜けるので､最後まで読んでくださると嬉しいです｡ (2021年7月11日 21時) (レス) id: 2bcfda530e (このIDを非表示/違反報告)
とかげ - コメント失礼します！！めっっちゃ好きです！！！！！最終的にみんなが主ちゃんに対する見方を変えるというか、改心するようなくだりが本当に好きです！！！！tnさんとの絡みも大好きです！！！！更新のために無理をする、なんてことはなさらないでくださいね！！！！ (2021年7月11日 20時) (レス) id: f7b3ff643c (このIDを非表示/違反報告)
rice。(プロフ) - 琴葉さん» コメントありがとうございます〜！ひゃ~そういうふうに言ってもらえて嬉しいです！これからもメンヘラヤンデレのオンパレードですので､無理しないで読んでくださると嬉しいです｡頑張ります！ (2021年4月6日 8時) (レス) id: a90d1b4d15 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：rice。 | 作成日時：2021年1月8日 22時
