《41》 ページ43
無花果「ふっ、威勢だけはいいようだな」
『威勢?
違う、貴女が嫌いなだけ』
無花果「お前を捨てたから、か?」
『捨てられたことは別にいい。
お陰で兄に拾われた。
この件に関しては、逆にお礼を言いたいくらい』
無花果「なら何だ」
私が苛立ってるのに、冷静に話を進める無花果。
まるで子を宥める親みたい。
それを見て余計に苛立ちが増す。
『自分で考えてみたら?
とにかく中王区には戻らないから。
...早く兄に会わせてくれる?』
無花果「...っ
あぁ、いいだろう」
無花果は電話を取り出して誰かにかけた。
口調から察するに兄、だろうか?
...早く会いたいな
無花果「────あぁ、すぐに来い」ピッ
『今のは兄?』
無花果「お前の望みだろう?」
『...そう...』
本当に連絡してくれたのか。
暫くソファーで待っていると、コンコンと扉が叩かれた。
まさか本当に兄が?
確かに中王区には来ているらしいけど...
こんなに早く来れるのかな。
無花果「入れ」
乱数?「やぁやぁやぁ!
無花果オネーさん☆」
無花果「相変わらず、甲高いお前の声は耳障りだな」
乱数?「ひっどぉい〜...あ、A!」
『...に、にぃに?』
兄の声に兄の髪色、中王区へ向かった時と同じ服に同じ靴。
本物と同じ兄の姿。
安心した私の目からは、温かい何かが頬を伝った。
『っ...にぃに...』
乱数「涙?あー、ほら泣かないの
無花果オネーさんの前だよ?」
『ごめんな、さ...』
乱数「無花果オネーさん、じゃあボクA連れてくね♪」
無花果「あぁ...呉々もよろしくな」
乱数「まっかせて〜☆」
兄と無花果は私の分からない話をしていた。
いつもの兄なら目を合わせてくれたのに、なんだろう?
目が合わない。
乱数「A行こう!」
『う、うん!』
乱数「じゃあね〜無花果オネーさん♪」
『...さよなら』
部屋を出て、兄の後ろをついていく私。
兄の後ろ姿からは無。
その言葉が相応しいような兄の雰囲気...
いや、きっと私の気の所為だ。
『にぃに、どこに向かってるの?』
乱数「ひみつ〜」
『...』
ふと、兄の足が止まった。
止まった先には一つの扉。
何故だろう、その扉は少し見覚えのある扉だった。
172人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
はる猫Blood(プロフ) - 由美子さん» コメントありがとうございます!そう言って頂いて嬉しい限りです! (2021年3月11日 16時) (レス) id: 29336fe771 (このIDを非表示/違反報告)
由美子 - 可愛すぎて尊い! 私もこの妹の立場にいたらどんなに幸せなんだろ (2021年3月11日 15時) (レス) id: 6fa9dce11e (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:はる猫Blood | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/RcKHYu2S7c1/
作成日時:2019年2月24日 17時