《30》 ページ32
貴女side
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『...兄らしいデザインの服だな...』
ぽろっと本音が出てしまった。
服は三着用意されていた。
一着目に、ポップで色とりどりなデザインが施された長袖のTシャツに、所々ダメージが入った白いパーカーと深い紺のズボン。
二着目に、違う服同士を縫い合わせて作ったかのようなシャツに、白と黒が入ったスカート。
三着目に、ポップな柄でありながら、どこか可愛らしくて愛嬌のあるようなワンピース。
『はぁ...着よう』
いつまでもウジウジしてても進まない。
こういう時は早く終わらせるに限る。
数分後
『これでいいのかな...とりあえず、にぃにの所にいかないと』
着替え終わって扉へ向かった。
何か話しているようで、そっとドアに耳を立てた。
乱数「俺の詮索は止めろ、その為だけにAも使うな。
アイツは何も知らなくていい。
知らなくていいんだ。
...わかったか」
兄...の声、か
幻太郎といるんだろうけど、あんなに圧迫した言い方に声色...
何があったんだろう。
幻太郎「...まぁ、人にはそれぞれ物語というものがありますしね...詮索するのは暫くしませんよ。
Aも利用したつもりもありませんが、もし貴方がそう思ったのなら謝罪します」
乱数「...いや、いい...」
この気まずい空気をどうしてくれるの...
兄よ、こんな中で扉開けて行くのって勇気いると思う。
変な空気で足が重くなる。いつもの服じゃないだけ、もっと動きづらい足を前へ動かし、深呼吸をして扉を開けた。
『...にぃに、着替えた』
乱数「A〜!
うんうん、すっごく似合ってるよ♪」
幻太郎「ふむ、可愛いというよりも...男女兼用って感じですね」
乱数「そういうデザインで作ってみたからね〜
Aってば可愛いからなんでも似合っちゃうから困っちゃう!」
『...』
さっきとは打って変わって、明るく振る舞う兄とニコッとしている幻太郎。
あの話は何だったんだろう。
私に関わること、?
乱数「...A?」
『少しはデザイン案浮かんだ?』
乱数「もう少し見たいかな〜☆」
『...げんたろーは?』
幻太郎「小生も乱数と同じ意見ですよ」
『じゃ、着替えてくる』
また扉の向こう側へ足を運んだ。
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はる猫Blood(プロフ) - 由美子さん» コメントありがとうございます!そう言って頂いて嬉しい限りです! (2021年3月11日 16時) (レス) id: 29336fe771 (このIDを非表示/違反報告)
由美子 - 可愛すぎて尊い! 私もこの妹の立場にいたらどんなに幸せなんだろ (2021年3月11日 15時) (レス) id: 6fa9dce11e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:はる猫Blood | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/RcKHYu2S7c1/
作成日時:2019年2月24日 17時