《26》 ページ28
乱数「...な、んでだろ...
よく、わかんない...」
『......にぃに...』
ぎゅっと優しく抱きしめる。
なんでだろう。
兄には、貴方には、そんな顔をして欲しくない。
そう、思ってしまう。
乱数「...A、無花果おねーさんに何か言われた?」
『何も言われてないよ、逃げてきちゃった』
乱数「それでいいよ、あんまり接触しないで欲しいし」
『...うん』
元気がない。
私が中王区に行ってしまうと思ったから?
兄を裏切ると思ったから?
私は、信用されていないのかな。
頭でグルグルとそんな考えが巡った。
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帝統side
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幻太郎に借りた金、全部擦っちまった...
一文無しになっちまったぜ...
はぁ、と俺は溜息を吐いた。
「今日は勝てる気もしねぇ...服まで賭けなかったのは正解だったかもな」
シブヤにある公園、この公園はよく来る場所だ。
居心地がいいっつーか、通い易いっつーか。
まぁ、どうでもいいな。
俺はベンチに寝転がった。
眠かったし、ここらで一眠りすっかな。
そう思った時だった。
人の声が遠くからする。
その声の主の元を辿るように探すと、見た事のある影があった。
「あれは...乱数のとこの...」
妹だっけか?
乱数とすげぇー似てるんだよな。
そんなことを思っていたら、ソイツはマイクを取り出した。
よく見ると、そのマイクはオモチャみたいなマイクじゃなくて、ヒプノシスマイクに似ていて...
ブォン
スピーカーが出た。
違法マイクかと疑ったが、違うな。
にしても、アイツ誰もいないのにラップバトルする気なのか?
俺は気になって一眠りするどころじゃなくなった。
「お〜い!」
そう声をかけながら、乱数の妹のとこへ向かった。
持っていた筈のヒプノシスマイクは、俺に気付く前にどこかへとしまっていた。
にしても、こんな時間に子供が一人で外出か?
心配になって乱数の元へ連れていこうとしたが、断られて逃げられてしまった。
「俺が羨ましい、か」
あの子の放った小さな言葉が、俺の頭から離れなかった。
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はる猫Blood(プロフ) - 由美子さん» コメントありがとうございます!そう言って頂いて嬉しい限りです! (2021年3月11日 16時) (レス) id: 29336fe771 (このIDを非表示/違反報告)
由美子 - 可愛すぎて尊い! 私もこの妹の立場にいたらどんなに幸せなんだろ (2021年3月11日 15時) (レス) id: 6fa9dce11e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:はる猫Blood | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/RcKHYu2S7c1/
作成日時:2019年2月24日 17時