アメジストを守る黒曜石 Ⅱ (ページ10)

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第54話 “シスター” ページ10

【シスターside】

薄れゆく意識。

今までの事が走馬灯のように蘇る。

支配者側に加担し続ける…………

それがこの世界で生き残る唯一の道だった。

けど…………結局死を押し付け合うだけ。

“自由”も“幸せ”もない。

『シスター』

……誰？

『シスター……』

誰かが、私を呼んでいる。

────あなたは誰？

声を出そうとしても上手くだせなくて。

すぐそこにいるのに手が届かない。

『シスター……シスターは────』

覆っていた靄が晴れてくる。

その姿を露わにする。

白いシャツ。

白いスカート。

白い肌。

『シスター……シスターは今────』

それらに相反して長く黒い髪。

宝石のように輝いた紫の瞳。

ああ、思い出した。

私、門に来る前に“アイツ”に会ったんだ。

────私に屈辱を与えた“人狼”に

出会った時に「アメジストみたい」と褒めた瞳。

けど、それは獲物をおびき寄せる罠。

奥に潜むものは淀んでる。

憎たらしい。反吐が出る。

『シスター…………シスターは今────』

アンタだけは私が潰してやりたかった。

あの女と一緒に引きずり下ろしてやりたかったのに。

けど、それももう……いいか。

いい？

アンタだけでもいい、絶対に生き延びなさい。

逃げて逃げて逃げて…………

このクソみたいな世界をぶち壊せ。

────────“愛”してるわ

『────────＿＿？』

あ……れ？

…………なんて……言われたんだっけ…………？

もう……思い出せない。