アメジストを守る黒曜石 Ⅱ (ページ13)

今日:3 hit、昨日:5 hit、合計:64,585 hit

第57話どんページ13

【ドンside】

レイの作戦通り、俺とギルダは外で待機し最悪の場合の合図を待つ。

今のところレイからはない。

よし、このまま無事に────

「ねぇ……どういうこと！？」

弟を抱っこするギルダの声で俺も扉を見る。

出てきたのは……ママだった。

なんでっ……！？

レイからの合図がないのにママが出てきた！！

まさかこれ、最悪以上の最悪な事が起きてんじゃ……！！？

「ギルダ！お前はここにいろ！ハウス見てくる！」

「ドン！？」

俺は慌ててハウスの中に走った。

駆け回った。

全部の部屋を見た。

階段を駆け上がった。

────どこにいんだよレイ！！！

イライラと焦りが募る中……

「お兄ちゃん……？お兄ちゃん！？どうしたの！！？」

Aの声が聞こえて、俺は急いで駆けつける。

シスターの部屋の扉を何度も叩きドアノブを回すAが、何度も何度も「お兄ちゃん！！」と叫んでいた。

「A！！」

「！！ドン……！！お願い助けて！！！」

「お兄ちゃんが……お兄ちゃんが！！」と必死に訴えるAの顔は今まで見たことないくらいに怯えてて。

紫の瞳には涙が溜まっていた。

俺はそんなAの震える手を取り、鍵のかかったドアを叩く。

「レイ！！レイいんのか！！？」

「ドン！！まずいことになった！！早くしねぇと！！」

「わーってる！！とりあえず待ってろ！！」

念のためにAをドアから離れさせ、俺はドアに思いっきり体を打ちつける。

すると蝶番が外れ内側にバタンと倒れた。

「お兄ちゃん！」

「Aっ」

扉が開き(正しくは壊した)、Aは泣きながらレイに抱きつくとレイも震えるAを抱きしめ返した。

……俺のことは無視かコノヤロウ。

いやいやそんなことは今どうでもいい！！

「それよりレイ！！」

「！そうだ！！」

「っ！？お兄ちゃん？？」

「わりぃA！また後で！急がねぇと……！！」

「行くぞドン！！」と誰よりも先に部屋を出ていった。

俺もその後を追おうと立ち上がる、その時だ。

「ドン……！」

Aの声が俺を引き止めた。

「ねぇ……どうしたの？急がなきゃって……何が……？」

「っ……」

「お願い……教えて……」

涙目で必死に訴える姿に胸が痛くなる。

けど────

「ごめん」

────話したいけど……話せない。