僕と君の世界 (ページ20)

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「フツー、て何」

「俺たちのどこがフツーなわけ？」

「おれは」

「男とこんなことしてるなんてばれたら終わりなんじゃねえの？俺も、――お前も」

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正当そうなことを言うのは俺のためなのだ、とすとんと胸に収まる。

実際あなたは、保っていた無表情を僅かに崩していた。

本心じゃない証拠は、それだけで十分だ。

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「なあ」

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耳元にあなたの唇が近づく。

それだけで俺の胸はざわつくし、頬を掠める髪を撫でたい衝動に駆られる。

そろりとそこに腕をのばして、触れる直前にぴたりと止まって、しまった。

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「戻れるうちに、戻っとこーぜ？」

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俺の決意も全部打ち砕いて、残酷に笑う。

否、の一言も紡げない。

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そのままあなたは、全て快楽でうやむやにしようとする。

ちゃんと話そうと手首を捕まえても、

相手も男のわけでそう簡単に大人しくはしてくれない。

噛みつくように唇を重ねられて、

嬉しいはずのキスが今は途方もなく苦しい。苦い。

どうせするなら、あなたと、幸せなキスを交わしたい。

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「翔さん、」

「ほんとは――」

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その言葉の続きは、あなたの嬌声へと変わる。

ごつごつした喉仏を見上げながら、俺も息を詰まらせる。

もう、俺の言葉は届きそうにない。

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のけ反らした体。

あなたの頬を濡らす涙の原因はこの先きっと、あなたしか知らないままだ。

どうすればあなたの心を俺のものにできるのか、

快楽の渦の中で考えては、

じわりと涙ばかりが、

滲む。

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・* End. *・