二滴 ページ3
その日の夜、ツノの子は家を出ようと何着かの服だけ持って家を出ました。
家の戸を開けても、両親が起きてくることはありません。
これから、森にでも行こう。家族に妹にまで迷惑がかからない場所まで行こう。
私のことを知られないままひっそりと死にたい。
そう思って家を出ました。
「お兄ちゃん!待って!」
その声は聞き慣れすぎてしまった、妹でした。
妹の顔には、現代の本体とも言えない粗末な布が貼られていました。
『なんで、』
つづきの言葉を言う前に妹は兄に抱きつきました。
「私、お兄ちゃんのことが大好きなの!お兄ちゃんと一緒に生きていたいの。お願い。」
『ありがとう。でも、、、ごめん。もう行くよ。これ以上迷惑かけたくなんだ。幸せに生きてね』
ツノの子は踵を返してまた、歩き出しました。
「お兄ちゃん!幸せに生きてね。私、いつまでもお兄ちゃんが大好きだから!」
それから、数年で妹は家を離れ良いお嫁さんになれたそうです。
その後、ツノの子を見たものはいなかったと伝えられています。
ツノの子の生死すらも誰にもわからないそう。
・・・
いつ死んだのか、いや死ねたのかは本人にしか分かりません。
ツノの子の家は、名字を″碧棺″と名乗っていたそうです。
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作者名:スイレン | 作成日時:2022年12月1日 10時