バレンタイン ページ42
yt side
中島くん、私と付き合ってください。
共通の友人を数人挟んだ顔見知り程度の女の子に突然そう告げられたのは、バレンタインデーの前日だった。
正直話したことも数回しかないし、そもそも連絡先すら持ってないけど。
友人を通して 会いたがっている人がいる、と名前を伝えられたときも、すぐに顔を浮かべることができなかった。
「でも俺、あんまり君のこと知らないし」
そう言うと下を向き、友達からでも、と手を握られる。
不自然に赤い口元と、軽く巻かれた長い髪。
一般的に見たら美人な子なんだろうな、すらっと細くて清楚な顔立ちで。
だけど......あの柔らかい唇とふわふわの黒髪と柔軟剤の優しい匂いと抱きしめたときに腕の中にすっぽりと収まるサイズ感が頭をよぎってしまえば、それ以外の人なんてどう頑張っても好きになれる気がしない。
掴まれた手を静かに振りほどいて、目を逸らす。
「悪いけど俺、好きな人がいるから」
悲しそうに笑う顔を見てもなんの感情もわかなくて。
むしろ面倒だから早く終わってくれとすら思ってしまう。
これだけ受け取って、と無理矢理渡されたチョコレートをポケットに入れ、立ち去って行く背中を見送った。
・・・
綺麗ににラッピングされたトリュフチョコを弟に押し付けて、自室のベッドに寝転ぶ。
告白断っておいてチョコなんて食べられるわけないのに、受け取るんじゃなかった。
明日はバレンタインか。
俺にはあんまり関係ないイベントだな、と苦笑して枕に顔を埋めたところで、部屋に着信音が鳴り響いた。
山田さん、の文字に心臓が飛び跳ねそうになるのを押さえて応答アイコンに触れる。
「もしもし」
『あ、ゆうとくん。今平気？』
「大丈夫です。どうかしました？」
『あのね、大したことじゃないんだけど。明日、少しでいいから時間取れないかな』
「明日ですか？」
『うん。お世話になってる人に渡そうと思ってチョコを作ったんだけどね、調子に乗って作りすぎちゃって。もらってくれない？』
......電話口の向こうでどんな顔をしているのかが無性に知りたくなった。
バレンタインデーなんて所詮あげる方の自己満足だと思ってた。
「いいんですか？」
『うまくできたからゆうとくんに食べてほしいな』
好きな人からだと、そうじゃないみたい。
緩みそうになる頰を抑え、スマートフォンを持つ手に力を込めた。
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わたあめ - 甘酸っぱい凄く初々しい物語ですね！面白かったです♡この話ってゆとやまが付き合って、イチャイチャする場面まで作れますか？主様の物語とてもタイプでした！ (2022年12月14日 16時) (
レス) @page46 id: c3da2a518a (このIDを非表示/違反報告)
(名前)ちょこ(プロフ) - すごい面白いです。いつも楽しく見させて頂いてます。 (2022年11月3日 23時) (レス) @page46 id: 0ec106236f (このIDを非表示/違反報告)
いちごみるくてぃー(プロフ) - しゅーたさん» コメントありがとうございます！実は私、しゅーた様のPervert *jump ytym*が大好きなんです！お互い頑張りましょう。これからも一目惚れ−ytym−をよろしくお願いします！ (2021年3月22日 16時) (レス) id: 7c2aec0ae1 (このIDを非表示/違反報告)
しゅーた(プロフ) - いつも初々しいきゅんきゅんなゆとやまを楽しく見させていただいています！肩、お大事になさってください…！応援してます！！！ (2021年3月22日 9時) (レス) id: 64eba0c041 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：いちごみるくてぃー。 | 作成日時：2021年2月22日 22時
