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弟は意外と早くに帰ってきて、やっと家に入れてもらう。
家の中のあまりの暖かさについ溜息が漏れた。
でも……鍵を忘れて良かった、と、すでにからになってしまった缶を握りしめながら思う。
もし普段通りに家に入ってたら、あの人には会えなかったかもしれない。
仮に荷物を受け取るのが俺だったとして、いまのように一目惚れしてしまったとしても、この缶なんて絶対にもらえなかった。
まだ微かに甘い匂いの残る箱をテーブルにおいたと同時に、弟の侑李から話しかけられた。
侑「なに、いいことでもあったの?」
「俺……鍵忘れて良かった」
侑「はあ?寒すぎておかしくなった?あ、その荷物僕のだ。頂戴」
「えっ、ちょっと待って」
侑「なんでよ僕の荷物じゃん。あっ、これかあ。やっと届いたよもう」
中身に夢中になっている侑李の目を盗み、箱をそっと手元に引き寄せ、部屋に戻る。
埃を丁寧に拭った戸棚に箱をのせ、その上に綺麗に洗った缶を置く。
気のせいだと思い込むには甘すぎるその匂いは、俺にあの人を思い出させるには充分すぎるほどだった。
「ヤマダさん。ヤマダくん。ヤマダ……ちゃん?」
ヤマダリョウスケだと、あの人は名乗った。
どういう字を書くのだろう。
ヤマダは多分、山田。リョウスケは……亮介だか遼介だか、可能性はいろいろある。
なんにせよ、あの人にぴったりだと思った。
爽やかで甘くて、可愛らしい。
「リョウスケ……」
口に出してみる。
あの人も、あのさくらんぼのような唇で、あの優しい声で、また呼んでほしい。
中島さん、と。
中島くん、裕翔くん、裕翔。
あの声で、柔らかい笑顔で。
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わたあめ - 甘酸っぱい凄く初々しい物語ですね!面白かったです♡この話ってゆとやまが付き合って、イチャイチャする場面まで作れますか?主様の物語とてもタイプでした! (2022年12月14日 16時) (レス) @page46 id: c3da2a518a (このIDを非表示/違反報告)
(名前)ちょこ(プロフ) - すごい面白いです。いつも楽しく見させて頂いてます。 (2022年11月3日 23時) (レス) @page46 id: 0ec106236f (このIDを非表示/違反報告)
いちごみるくてぃー(プロフ) - しゅーたさん» コメントありがとうございます!実は私、しゅーた様のPervert *jump ytym*が大好きなんです!お互い頑張りましょう。これからも一目惚れ−ytym−をよろしくお願いします! (2021年3月22日 16時) (レス) id: 7c2aec0ae1 (このIDを非表示/違反報告)
しゅーた(プロフ) - いつも初々しいきゅんきゅんなゆとやまを楽しく見させていただいています!肩、お大事になさってください…!応援してます!!! (2021年3月22日 9時) (レス) id: 64eba0c041 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:いちごみるくてぃー。 | 作成日時:2021年2月22日 22時