一目惚れ -ytym-

言えない ページ40

in side



『伊野尾ちゃんと同じ高校行く......』

『俺まだ入学すらしてないのに卒業しちゃうの？ダメ！留年して！伊野尾ちゃんと一緒がいいの！』

『伊野尾ちゃん、明日暇？家行ってもいい？』




俺のこと大好きだったくせに。
どこにいてもとことこ着いてきたくせに。




『伊野尾ちゃんっ......』

『こっ、怖くて......っ、怖、かったの............動けなくてっ』



そう泣き叫んだ君を抱きしめたのは俺だったのに。




『あー、明日？......ごめん、用事ある』

『はあっ？同じマンションとか絶対無理！母さんでしょ仕組んだの！』




あのときのこと 以来、罪悪感で君に干渉しすぎたのかもしれない。




「好き、ですよね」

「山田さんのこと」




好きだよ。
あんたに1番気づかれたくなかったけど。





『ゆうとくんはそんなことしないもん！』

『......嫌い』




嫌い、って、その言葉がどれだけ俺の心をえぐるかなんて知らずに簡単にそう言って、でも明日になったら、昨日はごめんね、って笑顔を振りまくんだろ？
俺には振り向いてくれないのに。




なんで彼で、俺じゃなかったのか、なんて。
考えても無駄なことは、わかってる。


それでもまだ。

好きだよ、山田が。

言えるわけなんかないけどさ。

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