部屋 ページ34
yt side
シンプルなデザインの、甘い匂いの広がる部屋。
『狭いとこだけど』
「おじゃまします」
ぎこちない会話に、二人で顔を見合わせてくすりと笑った。
『そこ座ってて』
山田さんに言われた通り、折りたたみ式の丸テーブルの前に座る。
床の冷たさが、淡い色の座布団を通して伝わってきた。
暖房のスイッチを押しながら、山田さんは冷蔵庫の扉を開ける。
『そんなそわそわしないでよぉ』
「だって緊張して......山田さんの空間に足踏み入れたんだなーって」
『ふふ、何言ってんの？』
そう言いながら山田さんが冷蔵庫から取り出したものは、ショートケーキだった。
『コンビニで買ってきたの。一緒に食べよ？』
「え、いいんですか？」
『うん。はい』
一人分の小さなショートケーキ。
市販のペットボトル入りの紅茶を温めて飲みながら、ようやく効き始めた暖房にほっと息をついた。
「外寒かったですね。あったかい......」
『ねー。あったまるぅ......』
お皿を流し台に起き、ベッドの上にぽすんと座っている山田さん。
抱き枕をぎゅっと抱える姿がどことなく色っぽい。
『んー......眠い』
「可愛いな、やっぱ......」
枕に顔を埋めて、んんー、とぼやいている。
目は閉じきっていて。
無防備に晒された唇に、触れた。
『っ......？』
「............あっ！」
今俺、何した？
『え、い、いま......』
「ごっ、ごめんなさ......！」
慌てて謝るも、山田さんはぽかんとした顔のまま、その場で固まっている。
ああ、やっちゃったな俺。無意識とはいえ、最低すぎる。
恋人でもなんでもないのに。山田さんの気持ちも考えずに。
それなのに、山田さんが発した次の一言は、予想外すぎるものだった。
『............っ、い、よ？』
「えっ？」
『ゆうとくんなら......いいよ』
ゆうとくんなら、いいよ？
耳を疑った。ベッドのシーツを握りしめて、顔を赤くして。
幻聴じゃないかと思った。
だってそんなことそんな目で言われたら......。
『んぅ......っ』
そのまま赤く染まった頬を両手で包み、唇を押し付ける。
タイミングを見計らって、微かに開いた隙間から舌を捩じ込む。
そのまま微かに漏れ出る吐息を受けながらしばらくキスを交わした。
どちらからともなく唇を離し、真っ赤になった顔と目が合う。
そういえば。
ファーストキスだった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 305人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ジャニーズ」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
わたあめ - 甘酸っぱい凄く初々しい物語ですね！面白かったです♡この話ってゆとやまが付き合って、イチャイチャする場面まで作れますか？主様の物語とてもタイプでした！ (2022年12月14日 16時) (
レス) @page46 id: c3da2a518a (このIDを非表示/違反報告)
(名前)ちょこ(プロフ) - すごい面白いです。いつも楽しく見させて頂いてます。 (2022年11月3日 23時) (レス) @page46 id: 0ec106236f (このIDを非表示/違反報告)
いちごみるくてぃー(プロフ) - しゅーたさん» コメントありがとうございます！実は私、しゅーた様のPervert *jump ytym*が大好きなんです！お互い頑張りましょう。これからも一目惚れ−ytym−をよろしくお願いします！ (2021年3月22日 16時) (レス) id: 7c2aec0ae1 (このIDを非表示/違反報告)
しゅーた(プロフ) - いつも初々しいきゅんきゅんなゆとやまを楽しく見させていただいています！肩、お大事になさってください…！応援してます！！！ (2021年3月22日 9時) (レス) id: 64eba0c041 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：いちごみるくてぃー。 | 作成日時：2021年2月22日 22時
