一目惚れ -ytym-

独占欲 ページ26

yt side



毎週金曜日。夜9時半。
いつもの番号を押し、あの声を待つ。


『もしもしゆうとくん？』
「山田さんっ！こんばんは」


1週間の終わり。この時間が一番幸せかもしれない。


『宅配のアルバイト辞めちゃったんだよねー』
「えー？あの姿の山田さんはもう見れないのかあ」
『あれ、寂しい？』
「会える回数減るなと思うと寂しいです」


なんでもない会話と近状報告。
これでも十分だけど、直に会って話したい。


『俺も寂しいかも。また部活に顔出しに行っちゃおうかな』
「それは！......嫌です。俺だけの山田さんでいてください」


不意に、電話口の向こうで山田さんが黙り込んだ。


『それは......ずるいよ』
「なんか彼氏みたいな生意気なこと言っちゃいましたね」
『ふふ、独占欲？いいよ、ゆうとくんだけの俺でいてあげる』


本当にこの人は......冗談なのか本気なのか。
恋人みたいな会話を交わせる程度には親密な関係。
この曖昧な関係も嫌いじゃない。
けど、本当に俺だけのものになってくれたらって、思ってしまう。

映画→←大好き、だってさ。

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