とても綺麗な六月でした (ページ8)

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Episode : ６（小緩） : 花鯊はく.。o○ ページ8

今日もまた、嘗て華澄に勧められた散歩を施す。

………少し、昔の話をしよう。

俺は医者の父親、看護師の母親の元に生まれた
長男。

"長男"ということは、他の兄弟もいたんだ。

年の離れたの弟の藤。

彼奴はアルビノで、藤色の瞳をしていたから藤。

すごく優しくてよく笑う奴だった

でも＿＿＿

彼奴はもういない

殺されたんだ………あのクソ親父に

……あの日はよく晴れた土曜日だった

その日父親は有休を貰っていて、母親はもう既に自殺していた

いつも俺達を守ってくれてた母親がいないことに、
まだ幼い藤は気づかなかったんだ

＿＿＿＿＿＿＿＿＿
『ねぇお兄ちゃん、お母さんは？どこ行ったの？
　僕お母さんがいないとやだよ！』

『藤！大丈夫だ、お兄ちゃんがいるから』

『やだ！やだやだ！お母さんがいい！お母さん！』

『お前………そんなに彼奴がいいのか…！？』

『っ父さん…！』

『なら…お前の大好きな母親んとこに連れてってやるよ！！！！』

ｶﾞｱﾝｯ!!!
＿＿＿＿＿＿＿＿

………即死だった

親父が振った酒瓶が見事に藤に当たって
騒ぎを聞いた近所の人が通報してくれた

親父は勿論檻の中へ

藤は……帰ってこなかった

そのショックで俺も自殺しようとしてた

でも華澄がいたから、生きていられた

なのに………

こんな結末………誰も望んでねぇだろ…

あぁ…

藤…華澄…母さん………

もう…俺………

＿＿＿＿＿＿カンカンカンカン

……踏切の音…？

俺は音のする方を凝視する

するとそこには…

よく知った人物が立っていた

「…かす…み…………？」