50話 ページ7
柱たちが、誰一人として話さない。
皆が静まりかえっている。
その沈黙が怖くて、柱たちの顔を見ることができない。
階級甲の隊士が、柱に物申すのはとんでもない無礼だ。
それは、わかっている。
それでも、どうしても彼らのことを信じてみたくなった。
それが、師範の願いだったからか、自分の意思かはわからないけど。
しばらくの沈黙の後、蟲柱様は俺にハンカチを差し出してきた。
「とりあえず、涙を拭いてください。」
という言葉に従って、俺は慌ててハンカチを受け取った。
(柱や隊士たちの前では、泣かないように気をつけてたのになぁ・・・。)
そう思いながら、俺は顔についている雫を拭う。
でも、抑えきれなかった。
師範のことを考えたら、自然と涙が出てきてしまったのだ。
大きく深呼吸してから、
「勝手な発言、及び、発言する際の敬語のつけ忘れ、本当に申し訳ありません。」
と頭を下げながら詫びた。
「そんな細かいこと、気にしないでよ。」
「無一郎のいう通りだ。気に病まなくて良いよ、玲。」
霞柱様とお館様がそう言ってくださるが、無礼であることに変わりはない。
そのまま頭を下げていたら、
「だから良いッて言ってんだろうァ。」
と風柱様にどやされ、頭を掴まれて無理矢理顔を上げさせられる。
「玲の意見も聞けたわけだし、また話し合いに移ろう。」
お館様の優しい声が、耳に響く。
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芹(プロフ) - こんばんは。お話とても面白いです!!これからも無理せず頑張ってください!! (2022年3月27日 20時) (レス) @page10 id: fb1d41063f (このIDを非表示/違反報告)
朧月(プロフ) - Ry osdさん» ありがとうございます、嬉しいです!更新不定期ですが、絶対に完結させます! (2021年2月10日 16時) (レス) id: 457d30fcd7 (このIDを非表示/違反報告)
Ry osd(プロフ) - 読み入ってしまいました。続きがあるのでしたら楽しみにしてます。 (2021年2月7日 18時) (レス) id: d8163f4fc3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:朧月 | 作成日時:2020年11月10日 21時