階級甲の隊士は、何故か霞柱に懐かれたらしい【鬼滅の刃】 (ページ16)

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12話ページ16

～無一郎サイド～
「チッ。」

僕は思わず舌打ちする。

屋敷に戻るのが、想像以上に遅くなってしまった。

こうなったら、荷物を置いたら、すぐに夜の見回りに出なきゃ。

そう思いながら、僕は傷口を手当てする。

最後の鬼を斬る時に、少し爪がかすってしまった様だ。

ただ、毒がある可能性があるので、かすり傷でも手当てしないといけない。

普段ならこんな失態起こさないのに……。

いや、理由はわかってた。

任務に行く時も、任務中も、任務帰りも、玲の顔が頭にちらついて離れなかったからだ。

なぜなら、玲が泣いているのを僕が見たのは、彩芽が死んだとき以来だ。

きっと玲のことだ、彩芽のことを思い出して泣いたのだろう。

今思えば、今日遊びに行ったときも、いつもより元気がなかった。

やっぱり、玲は彩芽の死を受け入れきれてないんだ。

そりゃ、そうだろう。

鬼殺隊最強で、優しくて、賢明で、美しい。

そう簡単には受け入れられない。

僕だって、まだ受け入れられていない。

もちろん、彩芽が死んだことは頭では理解している。

でも受け止められない。

なぜなら、わかるから。

絶望に暮れている中、僕を救い支え、導いてくれた人。

僕の光となってくれた人。

そんな彼女が死んだ、と受け入れたら。

僕の心はきっと壊れてしまうだろう。