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S._32 ページ32

そういえば開けっ放しだったなと思いながら大毅を中に入れ、鍵をかけ直す。
靴を脱いで玄関から上がっても、なぜか彼は動こうとしなかった。



どうしたのかと思い腕をつついてみる。
1点を見つめ、あたしには反応しようとしない。



「だい、」


『…はぁ』



突如あたしの口を抑えて手を引かれた。
何事かも分からないまま靴を履き直し、走り抜ける背中に必死でついていく。
先程大毅が呼んでいたエレベーターが止まっていた。



乗り込んで閉ボタンと1と記されたボタンを指の先で押す。



「どうしたの…?」



あたしは何も分からない。
大毅だけが見える世界を、分かってあげられない。



『サツが…いた』


「家の中に?」


『うん。明らかに』



ということは家にはしばらく戻れないということ?



でも何で勝手に…
しかもあたしが出たのはほんの数分。
階段かどこかで待機して、ずっと待ち構えていたのかな。



令状もなし。
強行作戦。
そうでもしないと大毅を捕まえるのは無理だった?



『…あーあ、ナイフもパーカーも置いてきたんに』



道の脇に止められた覆面パトカー。
何の躊躇いもなく乗り込んで。



『今日はここかなあ…』


「戻ってきたらどうするの?」


『消すだけやで』



後部座席に2人で乗る。
頭を抱きしめられそっと呟いた。



『ありがとう』

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あっぷる(プロフ) - 遅くなりましたが初めて読ませていただきました。こんなに素敵で狂気的で美しい作品に初めて出会いました。繊細な言葉一つ一つが情景を恐ろしく想像させてくれる表現力、世界観には頭が上がりません。とても面白かったです。 (2020年5月1日 10時) (レス) id: 5a325cfe9e (このIDを非表示/違反報告)
カジャ(プロフ) - 凜憧さん» 毎度ありがとうございます。名前を見なくても私の作品だと分かって頂くことは意識していたことでもありますので嬉しいです、グダグダでございましたがご愛読ありがとうございました。 (2019年8月27日 9時) (レス) id: c91b141c55 (このIDを非表示/違反報告)
凜憧(プロフ) - 完結おめでとうございます。通知を見るより前に作品を見つけ、冒頭からカジャさんの作品かなあと思いました。表現も世界観も結末も、カジャさんらしく妖しい魅力でした。今回もすごく面白かったです、更新お疲れさまでした! (2019年8月26日 18時) (レス) id: f3cbf63448 (このIDを非表示/違反報告)
よーぐりゅ(プロフ) - カジャさん» あってます(( 認知あったなんて!笑ありがとうございます。こんなに素晴らしい作品なのになんで赤星にならないんでしょうか… 新作も楽しみにしてます!! (2019年8月25日 20時) (レス) id: c89cc366d1 (このIDを非表示/違反報告)
カジャ(プロフ) - おずさん» ラストだけは!ラストだけは他の場面よりも頑張ったつもりでございます笑 私の語彙力ではサイコパスというものの表現が全然足りなかったですね…ご愛読ありがとうございました。 (2019年8月25日 18時) (レス) id: c91b141c55 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:カジャ | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/kajya1734  
作成日時:2019年8月1日 19時

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