メイドのライカ (ページ9)

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あのパーティの翌日、私はなぜか王子の側近カナンに連れられてネルト王子のお部屋にいた。

「挨拶はいい。何故連れてこられたのかは分かるね？今なら言い訳くらいは聞いてあげられるけど、何か言いたいことは？」

『ございません。』

私はノーと言えるタイプの人間である。

ところで、怒らないから言ってごらんタイプの人間こそ1番信用できないということを王子は知っているのだろうか。

「あっそ。じゃ完結に言うけど、お前ノアだろ。」

王子の口調が変わってぶっきらぼうになる。リーフィアさま、これがこいつの本性です。

なんて余裕ぶってみるが、目の前の男と後方の男から刺さるような視線を感じるのでもう詰んでいることは確実だろう。

『･･･いつ気づかれました？』

「最初からだが。」

聞くところによると、本性を隠しているような胸糞悪い目で気づいたらしい。

･･･王子に特大ブーメラン刺さっていないか？

「失礼なことを考えてるだろ？俺は不敬罪にすることもできるんだが。」

『相変わらずの暴君っぷりですね。お元気そうで安心いたしました。』

「あ"？」

睨みつけながら暴君ムーブをかます王子に、にこやかに毒を吐くメイド。何とも不思議な構図である。

「ネルト、落ち着け。ノアも煽るな。」

とりあえず座って、とカナンに言われたので大人しく従うことにした。

「ノアが生きてて、本当に嬉しい。久しぶりに一緒にお茶を飲まないか？」

『貴方に足りないのは、この爽やかさと素直さだと思いますよ、王子様。』

「余計なお世話だ。」

いくら旧友とはいえ、今の身分は私の方が圧倒的に下。
流石に王子とその側近にお茶を入れてもらうことはできないのでカナンが用意していたお茶をカップに注ぐ。

「それで？今に至る経緯を教えてもらおうじゃないか。」

長い昔話が始まる。