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「ねぇライカ、私ってそんなに田舎くさいのかしら?」

『いいえ。』



不安げに呟くリーフィアさま。

思わず即答してしまったが、リーフィアさまが田舎くさい訳がない。



『この場の誰よりも美しいです。何しろ私がプロデュースしたのですから。』

「ふふ、なら安心ね。」



その笑顔プライスレス・・・!!!



私も微笑み返すが、脳内は大荒れである。


まるで、この世に舞い降りた天使のよう。
微笑みで蕾が花開き、光の粒が舞う。
その潔白さで心が洗われるよう。
なんて素敵な笑顔・・・!



「こんにちは、お嬢さん。」



しかし無情にも背後からの男の声に現実に引き戻され、夢のような時間は呆気なく終わりを迎えた。



誰だ私の幸せな気分を盛大にぶち破ってくれたのは、ガンを飛ばしてやろう、とイラついたが、振り返ると挨拶回りをしているらしいネルト第一王子だったので速攻頭を下げた。


王子だろうと幸せな気分をぶち破った罪は重いが、それと身分差とは別だ。

私はただのメイドであり、相手は王子。
失礼なことをしたら最悪不敬罪で捕まる。
そうすればリーフィアさまのお世話ができなくなってしまうのだ。それは絶対に避けたい。



「っこ、こんにちは!ヴィーナルから参りましたリーフィア・エルヴィスと申します!」



こんなときだが、相手が王子だと知ってあわあわしているリーフィアさま可愛い。私は頭を下げているから顔は見えないが、声だけで分かる。可愛い。


クソ王子、直ちにそこを代われ。もしくは記憶を私に渡せ。
くっそ私もリーフィアさまのご尊顔を拝みたい!!!



「そんなに慌てなくていいよ。僕はネルト・アーハイム。こっちはカナン・アベリティだ。後ろのきみは?」

『・・・ライカ・フォルタナと申します。』



リーフィアさまへの激情と王子への怒り、あの王子が“きみ”と言ったことへの嫌悪感で反応が一瞬遅れる。


だってあの王子が“きみ”?あの野生的王子が?
とても気持ち悪い。背筋に冷たいものが走った。他所行きの笑顔を貼り付けてるのバレバレだし。



「ライカ、か。とても良い名前だね。」

『ありがとうございます。』



はい社交辞令乙。
でも文面で見るとナンパ男みたいだな。

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作者名:月兎 | 作成日時:2023年6月27日 22時

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