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「ところで、ゴロツキに聞いたって言っていたけれど・・・」
『はい。私もゴロツキに絡まれまして。まあ大丈夫でしたけど。』
話を聞くと、数人の男に路地に連れて行かれたけれど、返り討ちにしたらしい。そこで情報を得たのだとか。
元とはいえ、コートネリア王国騎士団部隊長のライカを狙ってしまったその男たちは運が悪かったとしか言いようがない。
「ライカ、気を取り直してお買い物を楽しみましょう!」
『いえ、今日は大事を取ってもう帰りましょう。あまり長くなるとバレてしまいますし。』
「それなら、またここに来たいわ!」
『仕方ないですね・・・。』
ーーー
「ネルト!お前はまた無断で街に!もっと王族としての自覚を持て!」
「ネルト王子、次は俺も連れてってくださいよー。・・・あ、護衛のためっす。」
「あ、俺も俺も〜。護衛のついでに街の可愛い女の子と交流したいしね。」
「ヘルンは遊ぶつもりで、ザックはそっちが本命だろ!」
「まあまあ、落ち着けよカナン。怒ってばかりだとストレス溜まるだろ。」
「そのストレスの源がお前なんだよ、ネルト!」
静かに王城の自室に戻った筈だがカナンたちにバレて集中攻撃(?)を受けた。
俺は王族だから危険を避けるために街に出てはいけないと、沢山の人からいつも言われている。
あれはだめだ、これもだめだ、こうするべき、そんなことをしてはいけない。
幼少からずっとそんなことを聞かされてきた。
だが、そんな毎日が楽しい訳がない。
いいじゃないか、たまには街で遊んでも。
平民のように行動してもいいじゃないか。
「街なんて何度も行ってるし、庭みたいなもんだ。それと街を訪問するのも王族の仕事だろ?」
「めっちゃ正当化するじゃん。」
それに、俺はあの街が好きだ。
賑やかで、笑い声が飛び交っていて、笑顔が溢れていて。
こんな美しい街を俺は国王として守っていくんだと思うと、誇らしくなる。
あ、そうだ。これお前らへの王都土産な。カナンの好物チェリーパイ。
え?物で釣るなって?いやいやこれは100%従者を思う心の表れじゃん。わあ俺ってなんて良い主人。おい睨むなよカナン。
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作者名:月兎 | 作成日時:2023年6月27日 22時