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「で、何故こんなところにいたんだ。ここはゴロツキ達の巣窟だぞ。」

「えっと、ライカ、いえお友達と逸れてしまって・・・。」

「迷子か。」

「・・・はい。」

「そいつも大通りに出れば見つかるだろ。道が分からないのなら着いてこい。」

「は、はいッ!」



すたすたと歩き出した男性。
置いていかれないように急いで着いていく。



少しぶっきらぼうだけど、優しい。

そんなちぐはぐなこの男性がなんだかおかしてくて、くすりと笑ってしまった。



「なんだ。」

「ふふっ。いえ、お優しい方だと思いまして。」

「・・・なんだよそれ。」



少し怒ったように呟き、ふいと顔を背ける男性。

怒らせてしまったという考えが一瞬頭をよぎったが、これは多分違う。



「照れていますか?」

「バッ、照れてねーよ!」

「ふふっ。」

「笑うんじゃねぇ!」



指摘するとムキになる男性がおかしくて、また笑ってしまう。図星なのかな。



「申し遅れました。私はリーフィアです。貴方は?」

「・・・エリオット。」



エリオット、エリオット様。



名前を知れたことで距離が少し縮まった感じがして、嬉しい気持ち。



「大通りだ。ここからは自分で探せ。」

「っえ、一緒にいてくださらないのですか?せっかく仲良くなれましたのに・・・。」

「お前と俺はいつ仲良くなったんだ。」

「仲良くないのですか⁉︎」

「あー、もういいよそれで。仲良し仲良し。」



少し投げやりな口調だが、それでもやっぱり嬉しい。王都に来て初めてのお友達。うきうきと心が弾む。



しばらくの間目印になるという噴水の近くでお話しをしていると、馴染みのある声がした。



『リーフィアさまッ!』

「あ、ライカ!」



見れば、ライカが人を掻き分けて此方に向かってくるところだった。その顔は焦り一色。



『リーフィアさま、お怪我はございませんか⁉︎逸れてしまい申し訳ありません!』

「ライカ、私は大丈夫よ。私こそ勝手な行動をしてしまってごめんなさい。」



ライカは少しほっとしたように息をついたが、焦りと不安の表情は消えない。



『ゴロツキからリーフィアさまを狙っていると聞いて、心配で心配で。何もされていませんか?』

「えぇ、大丈夫。エリオット様が助けてくださったの。ほら・・・あれ?」



隣にいた筈のエリオット様がもういない。
フードをかぶっていたし、顔を見られてはいけないのかもしれない。

次お会いしたら、もっとお話をしてみたいな。

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作者名:月兎 | 作成日時:2023年6月27日 22時

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