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「ご令嬢、申し訳ない。怪我はないかな。」
「ネ、ネルト様!いえ、このメイドに助けていただいたので大丈夫ですわっ!」
焦ったように駆けつけた風を装うクソ王子。演技なの分かってるからな。
その演技力があるなら劇団入って俳優になればよいのではないでしょうか。腹黒王子役とかめっちゃ似合うと思います。
あ、役じゃなくて本性だったねめんご☆
「なら良かった。君も本当にありがとう。」
『いえ、当然のことをしたまでです。』
本音を言おう。
得意のポーカーフェイスでにこやかに微笑んではいるが、口角が引き攣りそうである。
「王子ー!危ないじゃないっすか!ヒヤヒヤさせないでくださいよもう!」
「今回は運が良かったけどさ、次は怪我をさせちゃうかもしれないし。女の子に傷付けないでよね。」
ザックとヘルンが王子を追いかけてきた。
あ、なんかヘルンと目が合った。嫌な予感。
「ところでメイドさん、何か武術やってました?あの動きは経験者じゃないとできないでしょ。」
ほらきたよ好戦的コミュ力おばけ男子ムーブが。
『えぇ、剣術を少し。』
はい嘘ですすみません。物心つく前から剣やってました。
騎士団入ってました。
今でもよからぬ奴ら相手に腕を磨いています。
「やっぱり?回転しながら飛んでくる剣の柄を掴む動体視力と瞬発力、着地のバランス力から、かなりの腕前だと思うんだけど。」
よく見てんなぁこの人(現実逃避)。
そしてクソ王子が貼り付けたような笑みで次の言葉を紡ぐ。あらやだ今日イチ嫌な予感がするわ。
「なら一回対戦してみたらどうだい?」
お前絶対それ目当てでいろいろ仕組んだだろ!!!(正解)
騎士団の訓練に参加したのも、剣をご令嬢に飛ばしたのも、全部お前の仕業だな⁉︎(大正解)
『いえ、私はただのメイドですし、それにご主人様のおそばを離れる訳には・・・』
そう言ってリーフィアさまをちらりと見る。リーフィアさまなら私の意図を汲んで断ってくれるはず!
そう念を込めてアイコンタクトをしたのだが、リーフィアさまはにっこりと微笑んだ。
「私もライカの模擬戦が見たいわ!」
「なら決まりだね。」
ちょ、リーフィアさまあぁぁぁ⁉︎
まって、私リーフィアさまに裏切られたら生きていけない。まじ病むんだけど鬱。
「ライカ、頑張ってね!」
『ありがたきしあわせ。』
リーフィアさまの応援はどんな薬よりも効く。
これテスト出すよ覚えておいてね。
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作者名:月兎 | 作成日時:2023年6月27日 22時