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フィールドでは、まだ新人らしいがかなり出来上がっているマッチョがクソ王子と対峙していた。


でも体格差があろうと、新人に負けるほど弱くは鍛えてないのでね。



「始めッ!」



隊長であろう男のよく通る声で試合は始まる。


暫くお互いに相手の出方を伺っていたが、新人がその均衡を破り王子めがけて剣を振った。


しかし正面からの攻撃ほど対処しやすいものはない。


王子はその攻撃を避け、切りかかった後の隙を突く。

間一髪新人は避けたが、新人のあの動きは駄目だ。隙が多すぎて実践ならすぐ殺される。


結果、王子が新人の剣を弾き飛ばし、試合に勝った。



「わぁ、すごい・・・。」



わぁ、リーフィアさまがすごい可愛い・・・。



ヴィーナルでのびのび育ったリーフィアさまには騎士団の訓練なんて未知のものだろう。
その証拠に、リーフィアさまはとてもわくわくした様子だ。


あぁ、できることなら、こんなむさくるしい訓練をリーフィアさまの美しいエメラルドに映したくなかった!

なんであそこで突っぱねなかったんだよ過去の俺!恋する乙女の顔で頼まれて断れる訳ないだろ今の俺!



ーーー



なんやかんやあって、クソ王子がマッチョを数人倒した。



ーーー



そして、そろそろ訓練も終わりに近づいた頃、事件は起こった。


あのクソ王子がぶっ飛ばした対戦相手の剣がギャラリーに飛んできたのだ。

危ないからそれやめろって昔から言ってんじゃん!カッコつけんなクソ王子ィ!

このままだとご令嬢(しかも高位貴族だ。)に当たる!
怪我なんてさせたら責任取って婚約とかあるんだぞ!

そんなことになったらリーフィアさまが悲しむだろ⁉︎
いや、クソ王子にリーフィアさまを渡すくらいならそっちの方がいいのか?


なんていろいろ考えるが、弱きを助け、平和を守る騎士道精神が幼少期より刷り込まれている私の身体は勝手に動く。


少し離れたところにいるご令嬢に向かって走り、柵に足をかけて勢いそのままに踏み切った。
そして空中で剣の柄を掴むとフィールドに着地。
最後にご令嬢に向けて微笑んで。



『お怪我はございませんか?』



おお、というざわめきと共にぱちぱちと拍手が鳴る。

手品師のように恭しく礼をすると、拍手はもっと大きくなった。

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作者名:月兎 | 作成日時:2023年6月27日 22時

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