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「ヘルン、力が入ると大振りになって隙が生まれていることに気づいているか?」
「へっ?マジっすか?そんな細かいとこまで見てんすねぇ。流石っす、ネルト王子!」
「お前は力加減0か100しか知らねぇからなぁ。」
「体が疼くんだよ!!!」
1人の眉目麗しい男性が2人に話しかける。
周りと比べて細身のそのイケメンは、我らがクソ王子ことネルト・アーハイムである。
「あれ?カナンさんは?」
「あいつは書類の山の中だったから置いてきた。」
「あのひと一応文官だもんなぁ。ご愁傷様っす。」
忘れがちだが、カナンの家、アベリティ家は代々コートネリア王国の宰相である。カナンもいずれ宰相。
だからカナンは経験を積むためにどんな仕事も引き受けたり、社畜な父親を手伝ったりしているのだ。
「ところで王子、ご令嬢たちが待ってるよ?羨ましいねぇ、色男。」
「いやー、すっごい人気っすねぇ。よっモテ男!」
「ザック、ヘルン、」
「はいすんまそん。」
「チッまた来たのかあの女共。」
「いらないなら俺にくれればいいのに〜。」
とてもお口が悪いです、クソ王子サマ。
そんなこと言ったら、ここにいる女性達に失礼でしょう。
もっとオブラートに包み込んで、
こんにちは、お嬢さん方。騎士団の訓練を見学しに来てくださりありがとうございます。
ですが、騎士団の訓練は男達の戦いなので、あまり楽しいものではないですよ。
それと、貴女達に悪い虫が付くといけない。あまり長居はしないことをお勧めします。
(訳:さっさと帰れ。気が散るんだよ、派手女共。)
とか言ったらどうでしょうか。
それか、そんなに女性が集まるのが嫌ならそのクソな本性を曝け出せばよいのでは?
一瞬で人が離れていくと思います。
「ライカ、ネルト様は今日も素敵ね。」
はい。リーフィアさまは今日も素敵です。
あのクソ王子は今日も今日とてクソです。
「ねぇ、ネルト様は剣もお強いの?」
『私が鍛えたので、ある程度の強さは保証します。あ、リーフィアさま、次はネルト王子が模擬戦をなさるようですよ。』
「本当⁉︎」
目をキラキラさせて聞き返すリーフィアさま。
まるで宝物を発見した子供のように無邪気なオーラが出てます。一つの穢れなき純白の心とは、リーフィアさまのことを言うのですね。好きです(末期)。
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作者名:月兎 | 作成日時:2023年6月27日 22時