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Untitled No.58 ページ8











ララ「これ、ずっと渡したかったの」


A「これは……」









最近また拾ったファッション雑誌のおまけでついていたらしい、髪留めのキットを使って作ったヘアゴム。
綺麗に糸が編み込まれていて、ガラスの飾りまでついていた。



ララは簡単に、耳元まで私の髪をすくい上げてひとつにまとめてくれた。
頭を振る度、カラカラと軽くて気持ちのいい音がする。



『似合う?』と訊くと、満面の笑みで『うん、さすがあたし』。
『そこは違うでしょ』と真面目にツッコんでしまった。
琥珀色の綺麗な髪留め。
金木犀のような、深い夕暮れの色。梟の眼の色。









A「ありがとう……毎日つける」


ララ「うん」









音を聴くのが楽しくて頭を振りすぎて目を回してしまった私に気を取られて、ララも全く気づいていなかった。
いつの間にか周りを取り囲んでいた、その複数の気配に。









ララ「やめてえええ!!」









多少は技でなぎ倒せたとしても、やはり複数、大の大人には勝てない。
ひとりを倒したと思ったら、別の方向から金属バットが腹に命中した。
さっき食べたご飯が逆流して、地面が少し濡れた。



しゃがみ込んで動けなくなったところを、拳、革靴、金属が迷うことなく身体を痛めつけてくる。
子供にも容赦ない、さすが九龍の人間。


視界も思考もぼやけてきたところで、新しい痛みは止まった。
筋肉が痙攣して、服は紅く染まっていた。
辺りが暗いのもあって、大人達の顔が見えない。









A「ララ、……逃げて」


ララ「……Aちゃ、……っっ」









『私はそっちじゃないよ……』と、泣きじゃなくったララの声がする。
もうその言葉の意味も考えられなくて、必死に、追い払う仕草をした。
あっちに行け、と。



全然、人影すらない方向にそれをしていた。
でもたくさんの脚と定まらない視界に、判別能力なんてなかった。
頬についた砂と髪の毛は、全く気にならない。



やっぱり、こんなとこ来なきゃよかった……
あのまま彼と……皆と……
ずっと、じっと、働いていればよかったんだ。



ララを泣かせた。
皆に心配かけた。
街を警戒させた。
自分すら、守れないくせに。









A「……また、ね……」









別に悲劇のヒロインとかじゃないけど、
この時ばかりは、そんな気持ちになってしまった。



肩に担ぎ上げられ、ぼやける視界の中ララに声をかける。
ちゃんと、笑えてただろうか。









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まや(プロフ) - 更新しますか?頑張ってください\(*⌒0⌒)♪ (2023年1月9日 1時) (レス) id: 507db5b736 (このIDを非表示/違反報告)
マリー(プロフ) - 再会おめでとうございます!すっごく嬉しいです〜!♡ (2022年9月30日 22時) (レス) @page8 id: 9b9f0146ff (このIDを非表示/違反報告)
マリー(プロフ) - 続き、読みたいです… (2022年9月25日 4時) (レス) @page6 id: 9b9f0146ff (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 凄くこのあと気になります。ゆっくりでもいいので書いて欲しいです。よろしくお願いいたします。 (2020年1月4日 20時) (レス) id: f66918ad6e (このIDを非表示/違反報告)
ましゅ - 続きはないのかな!? (2019年4月25日 8時) (レス) id: 92986f90db (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:Kyoh. | 作成日時:2018年6月28日 0時

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