CROWN No.96 ページ46
‥
……歌って、こんなに息の切れるものだったっけ。
マイクに思わず、手で寄りかかってしまうところだった。
汗が、額に滲んでいるのが解る。
そんなに力の使う曲じゃないのに。
ブースの外を見やると、……あんぐり、と言う表現が正しいのか、何とも言えないような表情をしていた。
思わず、自分の足元に視線を戻した。
……やっぱり、いきなり素人が歌ったら駄目だ。
……それに、思い出すことがなくもない。
亜嵐「よかったよ!」
A「……え?」
隼「ほんま! ほんまによかった! 新鮮やった!」
A「……??」
隼「あ、理解できてない笑」
龍友「皆、感動したってことやで?」
A「……本当に?」
龍友「ま、僕と涼太みたいにはいかんけど笑
でもこれなら、少し練習すればすぐ上手なるわ」
ぽん、と頭上に乗せられた龍友の手。
何されてるんだ、私は。
昨日と態度が、雰囲気が、全く違う。
昨日は涼太のことがあって、龍友とも何だか気まずい雰囲気になっていた……はずなのに、それは私の思い込みだったのだろうか。
……同時に、悟ってしまう。
気づいてしまう。
──この人達は始めるんだ…… "人を堕とすゲーム" を
無意識な親切でも、心からの気配りでもない。
"目の前にいる獲物を罠に陥れるため" のエスコート。
自分の最適の方法で、自分の理想の結末に持っていくための、言わば過程でしかない。
よりによって、その相手が "CROWN" だなんて。
しかも、私だなんて。
──私は、無理だよ……
ときめくことはあっても、それはあくまで異性の仕草としてきゅんとすると言うだけ。
だけど、私は……私、には……
龍友「ん? どした?」
A「……」
龍友「……A?」
A「……名前、呼ばないで」
龍友「え?」
亜嵐「?」
隼「Aちゃん?」
A「私の名前、呼ばないで」
そう、そうだよ。
私は元々、ここにも彼らにも興味ない。
来たくて来たんじゃない。
なりたくて
だから、彼らのことにも干渉する必要なんてない。
そして、私にそんな視線を向けてもらう必要もない。
そうだよ。
監獄長……いや、HIROさん。
私はやっぱり、 "CROWN" を辞めたい。
──だって、ここにいたら、 "忘れてしまう" ……
‥
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な - 昨日見つけてここまですぐ読んでしまいました!凄くみんなの過去が気になって惹き込まれます!!!これからも応援しています! オチは裕太くんか隼くん希望です! (2018年3月5日 12時) (レス) id: f0e5b106b0 (このIDを非表示/違反報告)
ぐっちー(プロフ) - いつも見ています!主人公の過去が気になって、いつもドキドキしながら見てます!これからも頑張ってください!応援してます! (2018年1月25日 19時) (レス) id: 900406c4cd (このIDを非表示/違反報告)
星華(プロフ) - 初めまして!楽しく読ませていただいています。オチは誰でもいい気がしてきました笑頑張ってください! (2018年1月25日 18時) (レス) id: f0eebf7f9c (このIDを非表示/違反報告)
和佳奈(プロフ) - これからどんな風になるのかどんな過去があるのかすごい気になります!!オチは龍友がいいです!これからも頑張ってください! (2018年1月25日 2時) (レス) id: 74371510d3 (このIDを非表示/違反報告)
ぴよ(プロフ) - いつも楽しく読ませてもらってます!前にオチは亜嵐くんがいいって言ったんですけど、読めば読むほどどのメンバーのオチも気になって仕方がないです笑 でも1人にしぼるなら亜嵐くんで! 大変だと思いますが、頑張ってください!応援してます!! (2018年1月23日 11時) (レス) id: fea3c16bd8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Kyoh. | 作成日時:2017年11月12日 20時