CROWN No.95 ページ45
‥
知らなかった。
バックステージと控室を繋ぐ廊下の奥に、もうひとつ部屋があったなんて。
ここのスタッフ専用通路はどこも、ドアと壁と同化している感じにデザインが施されているから。
連れて行かれた部屋は、スタジオ。
そんなに広くないけれど、 "GENERATIONS" のメンバーと、あと数人は余裕で入るゆったりとした広さ。
奥中央には、ガラス張りの個室がひとつ。
……レコーディングスタジオみたい。
亜嵐「さっき聴かせたのは、カバー曲。
聴いたことある曲、あったんじゃない？」
隼「最後についでで流した奴は、 "MAD CYCLONE" 。
それも含めて、さっき聴いた奴全部ここで龍友くんと涼太くんが録ったんだよ」
A「……ああ、そうなの」
隼「あれ？
もしかして、 "MAD CYCLONE" 聴いたことある？」
A「……昨日送ってもらった時、車内で流れてた」
龍友「……ああ、涼太のな」
私がそう言うと、龍友の顔が曇る。
今の言葉は、機嫌を損ねるようなことだったかな。
『歌詞見ながらでいいから、歌ってみて。音程もまだ2回しか聴いてないから、特に意識しないで、気を楽にね』
亜嵐が、機材を弄りながら言う。
隼にブースに押し込まれ、私はいそいそとヘッドホンを手に取る。
歌うんだ……本当に。
しかも、もしかしたらこの声をステージ上で披露しなきゃいけないんだろうし。
緊張が、最高潮に達する。
特に習っていたわけじゃないから、自分以外の人がこの声を聴くと考えるだけで、こんなに手が震える。
不安できっと真っ青になっているであろう私の顔。
ヘッドホンをやっと装着して、恐る恐るブースの外を見ると。
龍友がにかっと笑って、『大丈夫』と言った。
その目はまっすぐこちらを向いていて。
隼も亜嵐も龍友に気づいていないから、きっと口パク。
……思わず、そっぽを向いた。
何で顔を逸らしたんだろう。
まさか……あの笑顔に心臓が跳ねたなんて。
いやいや、まさか。
ヘッドホンに届く声。
『かけるよ？』
亜嵐の声だ。
そっぽを向いた首のまま、一旦目を閉じる。
大丈夫、大丈夫、大丈夫……
ひとつ深呼吸をして、目を開けた。
A「……お願い」
イントロが流れる。
静かなフェードインに同調するように。
──私の声よ、踊れ
もうこの状況なんだから、と腹を括って、声の底から声を出す。
歌うことが嫌なわけじゃない。
だから、精一杯、叫ぶように。
‥
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な - 昨日見つけてここまですぐ読んでしまいました！凄くみんなの過去が気になって惹き込まれます！！！これからも応援しています！ オチは裕太くんか隼くん希望です！ (2018年3月5日 12時) (
レス) id: f0e5b106b0 (このIDを非表示/違反報告)
ぐっちー(プロフ) - いつも見ています！主人公の過去が気になって、いつもドキドキしながら見てます！これからも頑張ってください！応援してます！ (2018年1月25日 19時) (レス) id: 900406c4cd (このIDを非表示/違反報告)
星華(プロフ) - 初めまして！楽しく読ませていただいています。オチは誰でもいい気がしてきました笑頑張ってください！ (2018年1月25日 18時) (レス) id: f0eebf7f9c (このIDを非表示/違反報告)
和佳奈(プロフ) - これからどんな風になるのかどんな過去があるのかすごい気になります！！オチは龍友がいいです！これからも頑張ってください！ (2018年1月25日 2時) (レス) id: 74371510d3 (このIDを非表示/違反報告)
ぴよ(プロフ) - いつも楽しく読ませてもらってます！前にオチは亜嵐くんがいいって言ったんですけど、読めば読むほどどのメンバーのオチも気になって仕方がないです笑 でも1人にしぼるなら亜嵐くんで！ 大変だと思いますが、頑張ってください！応援してます！！ (2018年1月23日 11時) (レス) id: fea3c16bd8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Kyoh.
| 作成日時：2017年11月12日 20時
