14部屋目 ページ14
施設の中に入ると白衣を着た男性が立っていた。首にかけているプレートには「玉城 八代」と書かれている。
「おっ、来たな。初めまして、今日から綾木君の担当になる玉城です。プレートに書いてあるからわかると思うけど」
ケラケラ笑う玉城さんにお世話になります。と頭を下げると彼は「おう、荷物は届いてたから部屋に運んでおいたぞ」と言う。
礼をいうと彼は「部屋行く前にお前の番見に行こうや」と言う。ここに居るのか、と思うと少し苦しくなる。認めて貰えるだろうか。怖い人だったら嫌だな、と思いながら自分の服を握ると彼はそれに気がついたのか、「イイヤツだから安心しな」と言う。
「……はい」
しばらく歩いていくと居住施設に入った。表から見ると分からなかったが、ここは渡り廊下があり、その上にはガラスが張られているらしい。
「公園があるんだけど、あそこにもガラスが張ってあってだな、日光が必要以上に入らないようにしてんだわ。後は、雨降ってても遊べるように」
「子供ってすごい元気ですもんね」
ははは、と笑うと彼は立ち止まり、ベンチを指さしながら「ちょっとそこで待ってなー、呼んでくる」と言って「第6医務室」と書かれた部屋に入っていく。大人しくベンチに座って待っていると中から何かが落ちるような音がした。大丈夫かな。と思っていると中から白衣を着た少年と、めざしを口のはしから出した青年が顔を出した。
「……えっと?」
「初めまして、佐倉 莉苑です。このめざしは気にしないでください」
「は、はぁ……?」
「莉苑……、俺はお前の上司だぞー?このめざしってなんだよ。めざしって」
めざしを食んでいた男の人はそれを飲み込むと、莉苑……君の頭に顎を置きながら話す。痛そうだ。
「関係ないでーす。あ、俺この人部屋に案内するんで部屋の片付けお願いしますねー、あ、今日はもう上がるんでー」
莉苑君はそう言うと俺の手を取り、行きましょうか。近くなんで、と言って、俺を立ち上がらせると歩き出した。
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腐女いちごう - 期待 (2017年4月29日 11時) (レス) id: 9a3b6eea55 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:リンネ | 作成日時:2017年2月3日 16時