今日、母親始めます【BL×オリジナル】 (ページ2)

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母体染色体保持者保護施設に生まれた僕は17年間、この施設の中で暮らしてきた。子供を産んだら、ここの出身者も外に行けるらしいのだが、残念ながら外への知識が皆無である僕はここを出る勇気はひとつもなかった。

番──以下夫と称する──の大翔は外は怖くないから、と言ってはくれるが施設の空気に馴染みすぎた僕はきっとここを出たら生まれたばかりの小鹿のように足をガクガクと震えさせるだろう。

外の世界では母体染色体保持者である男性への理解が少ないと聞いて育った僕は、なかなか踏ん切りがつかないままずるずると過ごしていた。

「……確かに、女の人とか保持者じゃない人は気持ち悪いとかなんとかいうだろうけどさ」

「それが嫌だから出ていきたくないの
理解もされないなら、こもってる方が……
こもってる方がまだマシだ」

この施設ができる前は母体染色体保持者は保持者であることを隠し、生活していたと聞く。それでも男同士でナニをしてしまえば、運悪く孕んでしまうこともあるわけで、そうなってしまえば、好奇の目に晒されることは免れないだろう。

それが怖かった。

大翔はそれを知ってか、大丈夫。大丈夫と僕の頭を撫でてくれた。

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