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彼女は見た目だけじゃなかった。
夏休み中、何度か図書館に行く予定を立てていた俺は、そこで彼女を見つけた。
大学の図書館なんだから、いてもおかしくはないのだけれど、妙にうれしくて、
ほとんど毎日図書館に通い詰めた俺は、彼女について詳しくなり始めていた。
まず、借りたり、読んだりしている本から分かったこと。
"植物図鑑"とか、童話だとか、意外と可愛らしいものを好む。(前者はノベルの方。)
整理整頓が得意…というか、真面目。
綺麗好きなのは、適当において放置された本を、全部元の棚にきっちり戻していたから。
そして何より、声と笑顔が可愛い。
声はどっちかというと、かわいさよりもきれいで大人っぽい感じが強い。
でも笑顔は、無邪気というか、若干の色っぽさと中学生のようなはにかみ笑顔を混ぜた感じで、
なんとも言えないというか、とりあえずまぁ可愛い。
勉強家で、朝の9時から午後1時まではずっとノートと参考書とにらめっこしている。
時々読書もして、1人で笑って、我に返って、赤面している。
それに・・・いや、これ以上離すと終わらないからいいや。
まぁ、そうやって毎日見てたんだけど。
今日は、少し違ったんだ。
いつものように、1時に席を立った彼女。
同じタイミングで出るとストーカーみたいだから、俺は何時も時間をずらす。
いつもなら、そうだった。
座っていた椅子に、学生証が落ちていた。
図書館は、入るのも出るのも、学生証をかざして、改札みたいなものを通らなければいけない。
俺はすぐに支度をして、それをつかんだ。
ただ単純に、困ると思って持って行った。
案の定、改札の前でカバンを漁っている彼女がいて、声をかける。
「・・・あの！！」
「・・・え？」
「これ、忘れてたから…」
「!!ありがとうございます…!」
まさか、こうなるとは思っていなかったんだ。
「あの、この後、一緒にお昼行きませんか。」
「えっ、あっ…はい。」
ちょっとした本音が、俺の口から零れ落ちるなんて。
＊
及川さんもうすでにストーカー化してるよ。気持ち悪いよ。(書いた人
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作者名：萌菓 | 作者ホームページ：https://twitter.com/fruit_kandume
作成日時：2017年6月15日 2時
