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大学にも慣れてきて、周りが見えるようになってきた頃。
誕生日で、夏休み前最後の講義だった。
ふざけんなってくらい暑い日で、全然頭に数学は入らなくて。
誕生日にこんな暑くて、祝ってくれる恋人もいなくて、最悪だなんて思ってた。
うわーって頭を垂れて先生の話を聞いていたら、
静かな中で、誰かがシャーペンを落とした音がした。
(・・・うわ。)
妙に澄んだ音が鳴って、そちらに目を向ける。
(腕白…っていうか細っ…!?)
フェミニンなシフォンのAラインワンピースから除く、白い腕。
耳にかけられた柔らかそうな髪。
覗く整った横顔。
(・・・なにあれ、あんな可愛い子いた…?なんで今まで気づかなかったんだろ…。)
綺麗な首筋、
長い睫毛、
ノートをめくる細い指、
ネイルをして指先を飾っているわけでもないのに、今まで見た中で一番綺麗だ。
(あー・・・めっちゃ気になる)
でも俺と彼女の間には何の関係もない。
関係を作ろうにもきっかけもない。
下手したら、彼氏がいるかもしれない。
(いるんだろうなぁ…。)
数額なんて、これっぽっちも耳に入ってこない。
先生の声にも興味がない
ただ一つ、今興味があるのは彼女のみ。
・・・あれ？これって俺、ひとめぼれ?
そんな考えは、
「及川!!起きろ!!」
「ハイぃっ!!」
先生の声で吹き飛ばされた。
＊
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作者名：萌菓 | 作者ホームページ：https://twitter.com/fruit_kandume
作成日時：2017年6月15日 2時
