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第15話 ページ28

「完全に菊池のこと思い出してるわけじゃないみたい。…だけど、お前の事好きなのは、変わらないみたいだな」

「俺、どうしたらいいわけ?……正直、今頭ん中真っ白。すっげー嬉しい…」

側にあったソファに腰掛けて、大きな溜息をつく。
どうやら、身体は正直なようで、足が少しカタカタと震えていた。
中島も俺の隣にそっと腰を下ろして、ふぅと息を吐き出す。

「やっぱ、お前ら結ばれる運命なんだな。こっちがドキドキしちゃった」

「……なんでだよ」

驚きながらもどこか嬉しそうに笑う中島に、つられて笑ってしまう。
2人で笑い合っていれば、急にぱしん、と中島に背中を叩かれて、唐突な事で噎せて中島を見る。

「行って来いよ。…俺は、何があっても、ずっとお前ら2人の味方だから」

「………」

ふ、と微笑みを浮かべる中島に、俺は静かに立ち上がって、大きく深呼吸をする。
2度目の告白。
病室にいるAが、どう思ってくれるかわからないけれど、俺がAの事を好きだということは、今も昔も変わらない。
この1年間の思い出を、忘れてしまったのであれば、また新しく楽しい思い出で塗り替えてしまえば良いだけ。
俺の中にはちゃんと残っているから、それだけで良い。
もし、Aが忘れてしまった記憶を思い出し始めた時に、教えてあげられれば、それだけで良いんだ。

「……じゃあ、ちょっと行ってくるわ。お義兄ちゃん」

ひら、と中島に手を振って、俺は先程来た道を戻ってAの病室へと急ぐ。

「おに……ッ?!応援しはしてるけど、俺はまだ、お前のお義兄ちゃんになる気はないからなー!」

ここは病院だから、きっと看護師に怒られるであろう、中島の叫び声が俺の背中に突き刺さる。
ケラケラと笑いが止まらなくて、一度だけ振り返ってニヤッと笑うと、中島も、ふっと口端を吊り上げて笑みを浮かべていた。




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作者名:ルイ | 作成日時:2019年5月26日 20時

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