第9話 ページ17
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「まぁ、簡単に話すとそんな感じ…かな。バタバタしてて、話すの遅くなってごめん」
撮影を終えて、次の仕事まで時間があるからと控え室で先程の話をする中島。
話を聞いた3人は唖然として中島を見ていた。
勿論、メンバー全員俺とAの関係も知っているから、俺にも3人の視線が向く。
「お前らがそんな顔すんなよ…。俺は大丈夫だから」
今にでも泣きそうな顔をこちらに向けられるから、俺は強がって答えるけれど、俺の嘘はどうやら見抜かれているみたいだ。
「菊池。可能性があるかもしれないって話なんだけど、…これからも見舞いにこれるときはAに会ってやって。もしかしたら、菊池と一緒にいる事で、思い出すかもしれないって、先生に言われた」
「…そっ、か。…うん、わかった」
中島にジっと見つめられ、俺は小さく縦に頷き返す。
そんな俺らのやりとりを見て、マリウスがポツリと呟いた。
「それでAちゃんの記憶が戻ったら、なんだからロマンチックだね」
「風磨君ならそんなミラクル起こしてくれるかもね」
「風磨君も健人君も、無理しないでね。俺らが出来る事は、フォローするから」
「…頼もしくなっちゃって」
年下3人の言葉に、俺も中島も思わず嬉しくて表情が緩んだ。
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作者名:ルイ | 作成日時:2019年5月26日 20時