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第10話 ページ18
【風磨目線】
「こんにちは」
「…あ、菊池さん」
休みの日。
昼過ぎにAの病室に行けば、Aはベッドから出ていた。
「こんにちは。今日はお休みですか？」
「うん。Aちゃんの様子見に来ちゃった」
「ありがとうございます」
嬉しそうに微笑むAを見て、俺もにこりと微笑み返す。
けれど、すぐにAの表情が何かを考えるようなものに変わる。
「…菊池さん、お昼ご飯食べました？」
「え？…いや、まだだけど？」
「………よかったら、一緒にどうですか？」
「へ……？」
思いもよらぬ誘いに、思わず間抜けな声が出る。
そして、俺のなんとも言えない反応を見たAは、慌てて口を開く。
「あっ、別にお腹空いてなかったり、無理にとは言わないですよ！…その、私は別に食事に関しては制限されてなくて…。上の階にレストランあるって聞いたんで、もしよければと思って…！」
あわあわと1人で話し始めるAを見て、思わず懐かしくてクスッと笑ってしまう。
「むしろ俺と一緒でいいの？」
「え！……あ、…はい。菊池さんと、お話したいです」
ふわりと浮かべる微笑みに、深い意味はないと知りながらも、俺の胸はドキリとうるさいくらいに音を立てる。
「…期待しちゃうじゃん？」
「えっ？！……な、なんでしょう？」
「ふふっ、なんでしょーね？話してたらお腹空いてきたわ、行こう、Aちゃん」
「あ、はい。行きましょう」
Aと一緒に病室を出て、エレベーターに乗って最上階に行く。
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作者名：ルイ | 作成日時：2019年5月26日 20時
