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あっという間に時間がたっていたようで、開始から1時間半が経過していた。
「はい全員失格〜乙で〜す」
一つ一つのミッションにも制限時間があるようだ。本当に逃○中のようだ。確かに姫崎は逃○中がある度毎回録画して見ていると言っていた。
「まあ失格なんだけど可哀想だから次で最後ね」
先程消えた仲間を覚えているだろうか。今度はその仲間を生きて助けることができればいいのだとか。姫崎と16人で挑んでも歯が立たなかったのに仲間を助ける、更に生きてというのは無理難題だ。もう既に彼は死んでしまっているのかも知れないのに。生きていてもどうせ怪我をしている。痛いのも我慢しながら仲間達の助けを待つことが出来るのか。男達には一人一丁の銃を携帯している。囚われた男はいつでも死ぬことができる。ここで雇われているのに生きているということが既に奇跡なのであって、ここで死ぬというのは至って普通のことなのだ。
だから彼は死んでしまってもおかしくはない。
「ほら…十何年連れ添ってきた仲間だろ…早く助けなきゃ…助けなきゃ死んじまうんだよ!?!?本当にいいのか…!?これだと見殺しになる…死体は何も思わないが、お前らは仲間を見殺しにしたという罪を負いながらこれから生きなければならないんだ。愉しいよね…そういう苦しむ部下を見るのは…」
彼女は笑った。とても深い、深い悲しみを持ちながら。例えるとするならば…そう。これから起こることだ。それならば彼女の悲しみを表せるだろう。
この『Cプラン』というのは元々、彼女の心の傷を消し去るためのものだった。
彼女は幼いころは薬剤師を目指していた。それは父親によってねじ曲げられ、悪い方向の薬剤師となってしまった。彼女は消えたように見えていたがそれは彼女の薬の効果によるものだった。彼女が薬を摂取することによって、彼女の周りの人間に幻覚を見せることができるようになった。それは超人技のように思えるが実はそうでもない。自由に操れるようになるのにどれほど時間がかかったか。操れるようになるころにはもう彼女は彼女でなかった。薬の副作用で体を悪くし、今動けているのも薬のおかげ。彼女は薬なしでは生きていけるような体ではなかったのだ。
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作者名:R☆Red | 作成日時:2017年8月13日 20時