「R」 ページ1
いつも通りに学校サボって渋谷に来てた。
みんなと別れたあとで、右耳の寂しさに気づいて、柄にもなく泣きそうになった。
そんな自分に「きも」、とか呟いて、とりあえずは来た道辿ってピアス探そうってフラフラしてた。
そしたら、前にいたちっさい奴がおっさん達に絡まれてて。
うわざまぁ、なんて思ったけど、ふと、……あれ、帝光の制服っぽくね、なんて。
そっから何となく、そいつのことぼーっと見てた。
なんで帝光生がこんな時間に渋谷いんのか、とか、見たことないし多分1年か3年だろうな、とか考えてた気がする。
「肩ぶつかったろうがコラァ!!」
「金払わんかいボケ!慰謝料払うべきやろうがぁ!!」
とかたぶん、そんな感じのことを二人組のおっさんは言ってた。
絡まれてたやつは本読んでるポーズのまま、動かなかったし、喋らなかった。
最初私は、ビビって固まってんのかと思ってた。
「聞いてんのかテメェ!無視してんじゃねえよ!!!」
二人組のうちのサングラスかけた特にいかつい方のおっさんが、思いっ切り腕を振り上げたんで、私は、あーあかわいそ、って心の中で手を合わせたんだけど、
そいつ、
その拳を本から目を逸らさないままで避けやがった。
そのとき気づいた
あ、髪水色だ。
水色は振り返らず口を開く。
声を聞いたのは、このときが初めてだった。
「藍里さん、ですよね。…すみません、
今からボク正当防衛するんで、証人になってもらっていいですか?」
私がそれに「……は?」と声を漏らしたときには、水色は、やっぱり本を読んでるままで、二人組に向かって足を放っていた。
二人まとめて、後ろまわし蹴りをくらわせていた。
なんで私の名前知ってんのこいつ、とか、影薄すぎだろ、とか、こんからがってぐちゃぐちゃになってる頭とは違って、体は、その蹴りに魅入って動かなかった。
「あ、なんか落ちましたよ」
こっちを振り向いたそいつは、アスファルトに手を伸ばした。
私に差し出された手に乗ってたのは、
「R」の文字が型押しされたシルバーのピアス。
「鞄に引っ掛かってたみたいですね」
「……どうも」
一言、そして、走り出す。
鞄に引っ掛かってたとか、馬鹿すぎ。
……
「あってよかった」、口を動かしたけど、声にならず消えた。
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水団子(プロフ) - 歌柚さん» 話の展開を褒めて頂き光栄です、、!!!拙い文に亀更新で申しわけありませんが、楽しんで頂けると嬉しいです!コメントありがとうございました! (2021年8月31日 3時) (レス) id: 4f5e2162c5 (このIDを非表示/違反報告)
水団子(プロフ) - 光華さん» めちゃくちゃ嬉しいです、、恐ろしい程更新が遅いですが、最後までお付き合い頂ければ幸いです。コメントありがとうございました! (2021年8月31日 3時) (レス) id: 4f5e2162c5 (このIDを非表示/違反報告)
歌柚 - コメント失礼します。ストーリや話の展開が面白くて楽しく見させてもらってます!ストーリ更新楽しみに待ってます!! (2021年7月13日 21時) (レス) id: f33fb75788 (このIDを非表示/違反報告)
光華(プロフ) - 好きです!更新応援してます! (2021年5月16日 10時) (レス) id: a571740452 (このIDを非表示/違反報告)
水団子(プロフ) - よもぎお餅さん» 黒子くんのお家に行こうと尾行したら見失った、というエピソードが好きでそこから色々と捏造を重ねたらこんな黒子くんが出来上がりました(^-^)主人公らしからぬミステリアスさが魅力だと思っています!コメントありがとうございました!! (2019年6月19日 20時) (レス) id: f26d4bb807 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:水団子 | 作成日時:2016年9月16日 0時