1話 ページ2
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ここは、何処だろう。
ふわふわと、体が浮いている感覚がある。
そうか、夢の中か。
優斗に医者が死んだと宣告したときに、泣きまくってたから疲れたんだっけ。
私はぼんやりと働いていない脳みそを働かせながら、周りを眺めた。
…辺り一面、黒色。
他にも情報がないかと歩こうとしたら、声が聞こえた。
「お前が
低く、まるで小さい頃読んだ、閻魔様のような声が私の耳を貫く。
『そうですが…ここは、夢の中ですか?』
聞いていいのだろうか。もしかしたら、こいつは夢の中に現れる死神とかかもしれない。
…でも、優斗が死んだんだから、私は別に死んだって構わない。
なんて思い問いかける。まあ、実際には誰もいなく、声しかないのだが。
「察しがいいな。その通りだ。お前は今、亡き者の優斗の亡骸の上ですやすやと眠っている。」
『亡き者とか、亡骸とか言わなくて良いですよ!』
つい、言い返してしまった。私は認めたくないんだ。優斗の死を。
…別にあんな奴、どうだって良いのにさ。
あんな言いかけてる最中に死んでるから、ムカつくんだよ。
…言い訳も虚しいな。
もうとっくに認めてるくせに。
「まあそう怒るな。お前には、チャンスをやりたいと思う。」
1人頭の中で考えてたら、声がまた響く。
一体誰なんだよ。とも思ったが、その前にとあることに疑問を持った。
『…チャンス、ですか?』
「そうだ。お前は今、如月優斗の死に、とても受け入れてない様子だな?だから、やり直させてやろうと思った。」
なんてありがたいことなのだろうか、やり直すなんて、私がしたいことじゃないか!
普段なら、もっと慎重にいく私だが、余りにも嬉しい言葉のパレードだったので、お願いします!と即答してしまった。
「まあそんなに焦るな。やり直すと言っても、1ヶ月戻ることになる。記憶を持ってな。それでもいいのなら、やり直させてやろう。」
1ヶ月…余りにも戻りすぎではなかろうか。今日の朝からとかの方が都合がいいのに。
でも、やり直せるならば、やり直してやろうじゃないか。
そう決意した私は、構いませんよ。と返事をすると、謎の声は言った。
「そうか。ならば、戻るとよい。」
その声を合図に、私の意識はそこで途切れた。
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作者名:雨宮くらり | 作成日時:2021年10月19日 17時