紅丸さんは素直になれない。【炎炎ノ消防隊】

弍拾弍話:変わったコト。 ページ26

・＊・＊・




『…えっ…？』


私の目に指をさすヒカちゃんとヒナちゃんに、私は少し戸惑った。

多分、さっきまで泣いてしまっていた事で目の周りが少し赤く腫れてしまったんだろう…。

今まで元気ないたずらっ子な笑みが消え、ヒカちゃんとヒナちゃんの表情が曇る…


「ど、どうしたんだAっ！？？」

「いつものアホ面じゃねえぞ！？？」


「ﾊｯ…!! もしかして…。」





「「若にいじめられたのかっ！！！？」」←



「んでだよ」(怒)←


私の周りを焦ったようにぐるぐると回るヒカちゃんとヒナちゃん。


いつもは人をからかったり、小生意気に私に遊べ遊べと言ってくるけど……、

この子達はこの子達なりに、私を心配してくれてるんだな…。



『ううんっ！目が赤いのはー、多分、私がさっき思いきり目をかいちゃったからだと思う！』



私はそう言って2人に向かって誤魔化して笑うが、2人の表情は曇ったままだ…。


「そう、なのか…？」

「でもA…。」



「ヒカゲ、ヒナタ。」


私にひっつくヒカちゃんとヒナちゃんに、紅丸さんが声をかけた。

私の方へ目を配らせると、不安げに頭を傾げるヒカちゃんとヒナちゃんの肩に手を置いた。


「？」

「若？」


「…確か、遊んでほしいんだったな。Aの代わりに俺が付きやってやるから、広間の方で待ってろ」

『…え、でも！』

「何だA。俺がこいつらと代わりに遊ぶのは文句があんのか？」

『いっ、いえ…！！;;』


いつも通りのしかめっ面で、不器用で、少しちょっと怖いけど…、



だけど、





「…こいつらの面倒は俺が代わりに見といてやる。
お前は晩飯の用意でもしてきやがれ」





今日は何処か…凄く、ホッとする…。




そう言って、べにまるさんが私の耳元で耳打ちをした。


…ヒカちゃんとヒナちゃんは、私の方を心配する顔で見つめていたが、私は何も言わず『大丈夫だよ。』と意味を込め、ニコリと笑った。

それを見たヒカヒナちゃん達もお互い顔を合わせ、ホッとした表情を浮かべた。良かった…。



『じゃあ私、皆さんの夕飯の準備してきます！』

「おいおい。今日丸1日中歩いて見廻りしてきたんだから、今日ぐらい休んでいいんじゃねぇか？」

『いえ！朝私が寝坊した所為で紺炉さんに迷惑かけちゃったので…夜は私がきっちり作ります！』





『っあ、新門大隊長！！』

「あ”ぁ？」







『…その…、ありがとう、ございました。





“紅丸さん”』



私はそれだけ言って、軽い足取りで台所へと足を進めた。

弍拾参話:紅丸さんは少しだけ、すこーしだけ素直になれた？→←弍拾壱話:小さい子の目は誤魔化せない。

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