36.ゼンの抗議 ページ36
「ちっ」
ゼンは腹を立てながら、小さな工作をしようとグルーガンのようなものを手にとった。
だが、それに電気は通っていない。
簡易的な溶接をしようと思っていたものが、できない。
ここの電気、ブレーカーが“意図的”に落とされている?
「……あーもう!!!!!」
ゼンはグルーガンを作業台にたたきつけ、重い腰を上げた。
エレベーターを上がっている間中、ゼンはずっと右のつま先を床に何度と打ち付けていた。
向かったのはリエが在室中であろう社長の部屋だ。
エレベーターのドアが開き、ゼンは降りてすぐに社長室のドアを蹴破った。
「この野郎、リエ!」
ドアを蹴破る音やたるや、家を壊すほどの雷にも匹敵するだろう。
まさに轟音であった。
リエの傍に控えていた秘書は胸に抱えていた御盆をきつく抱きしめ、急に入ってきたゼンを凝視していた。
瞳にうつっているゼンは泣く子も黙る形相をし、あのリエの前で激昂を飛ばしていた。
リエは机に頬杖をついて、ギラリと光る銀のボールペンを片手にふんふんとそれを聞く。
ゼンの形相と剣幕、女や子供はちびってしまいそうなものがあるが、リエは冷酷な瞳で、冷静な声でそれに反論を重ねていた。
「リエ、お前はなんでいきなり経営方針を変えやがった。今のままでも会社は成り立っていたはずだ。
この会社に長く勤めてきた玄人社員を大事にして、出自に関係なく良いアイデアを出した人間を優遇するっていう方針で良かったじゃねーか。
それで切磋琢磨して、昇給狙って。
誰もが否定しないシステムだった。なんでお前はそれを変えやがった。
それがきっかけでウチの稼ぎが揺らぐかもしれねーんだぞ?」
「ゼン、あなたは社長じゃない。稼ぎのことは今の段階では考えなくていいの。
勤務日数が長い人と良いアイデアを出してくれる人はこれからも重宝するけど、今は新人の育成をしたいって話よ。
新しい人材を育てて損はない、でしょう?」
「だからって電気まで落とすことねーだろうが!
俺はここの稼ぎ頭なんだぞ、オラッッッ!」
「稼ぎ頭さんのくせに
社長さんの言うことを聞く利口さんじゃないのは
いかがなものかしら?」
「な……っ」
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しまくろしるる(プロフ) - レイチェル・ハジェンズさん» はい、のんびり応援します!レイチェルさんも自分のペースで書いていってくださいねー (2016年11月27日 0時) (レス) id: 5ed7260065 (このIDを非表示/違反報告)
レイチェル・ハジェンズ(プロフ) - しまくろしるるさん» うぎゃー! しまくろしるるさん、御無沙汰しております。読んでくださり、ありがとうございます。頑張って書いていくので、楽しんで読んでもらえると嬉しいです。 (2016年11月25日 21時) (レス) id: f158aaa837 (このIDを非表示/違反報告)
しまくろしるる(プロフ) - 新作おめでとうございます!!すごく面白そうなので楽しみにしてます!! (2016年11月25日 20時) (レス) id: 5ed7260065 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:レイチェル・ハジェンズ | 作成日時:2016年11月24日 22時