１２．対峙する ページ12
「えー……、では、この機械の修理費用を重ねた金額が二百五十五万ギルになります」
「弱虫」
「もう何とも言えない」
あれから、パンツマンにびびってビンタ一発で起動不可の状態にまでしてしまったリエ。限界状態まで追い込まれた人間は、時に怪力以上の力を発揮するものである。
屈強で、頑丈だった機械も動かなくなってしまった。
短時間での修理作業と、ボディを修復するだけの費用で済んだものの、タイムロスしたのは事実である。リエとゼンは会議机で対峙する。リエは修理費用の計算された用紙一枚を持ち、ゼンは机に肘をついて目の前にいる彼女を呆れた目で見ている。険悪な眼差しに、リエは反省するしかない。
「根性ナシ」
「はいはい。何とでも言えっつってんでしょ。テディベアにパンツ履かせる実験は成功してるんだから、そこまで言わなくても良いじゃない」
「べーだ」
リエは自分が着ている白衣の襟をピシッと整えた。自分を実験体にするな、自分がこっちのほうが似合っているという細やかなアピールだ。
それに対してゼンはピアスの穴を開けた舌――失敗して赤黒くなっているところもあるのだが――を突き出して、熱い珈琲を飲む。
「それで、お前はどうやってパンツマンを売り出していくんだ」
「まず商品名を変えたいんだけど……。そんなこと言い出したら流石に殴るよね？」
「女でも殴るわ」
「だよねー……」
リエは自分の悪癖であるペン回しをしながら、憂鬱そうな表情を浮かべる。
機械の名前、もとい商品名をつける権利は製作者側にあるのだ。素人や何の変哲もない製作者側ならともかく、ゼンは売れっ子だ。編集者と漫画家のようなもので、売れっ子と打ち合わせをするときはそっちの意思を尊重しなければならない。編集者はデカい態度でいれないのだ。いつ逃げ出すか分からん。
ゼンが今まで作って来た商品の名前は、全部といって良いほどヘンテコなものだった。さしみ、たま、ころ、パヤング……といった感じで。どれもこれも売れるから不思議なのだが。
「じゃあ、パンツマンは変えないわね」
「なあ、俺に聞きたいことないの？ そろそろ」
「聞きたいことって……」
机の上に出ていたお風呂にいれるアヒルが、ぶうと音をたてて鳴いた。ゼンが空気を抜いて、両手で握りつぶしたのである。
- 金 運: ★☆☆☆☆
- 恋愛運: ★★★☆☆
- 健康運: ★★★★★
- 全体運: ★★★☆☆
ラッキーアイテム
革ベルト
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しまくろしるる(プロフ) - レイチェル・ハジェンズさん» はい、のんびり応援します！レイチェルさんも自分のペースで書いていってくださいねー (2016年11月27日 0時) (
レス) id: 5ed7260065 (このIDを非表示/違反報告)
レイチェル・ハジェンズ(プロフ) - しまくろしるるさん» うぎゃー！ しまくろしるるさん、御無沙汰しております。読んでくださり、ありがとうございます。頑張って書いていくので、楽しんで読んでもらえると嬉しいです。 (2016年11月25日 21時) (レス) id: f158aaa837 (このIDを非表示/違反報告)
しまくろしるる(プロフ) - 新作おめでとうございます!!すごく面白そうなので楽しみにしてます!! (2016年11月25日 20時) (レス) id: 5ed7260065 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：レイチェル・ハジェンズ | 作成日時：2016年11月24日 22時
