11.握られている ページ11
長い袖は適度に捲っておく。裾はお尻が隠れるくらいまでの長さだ。チャックを上げて前を閉じてしまうとパンツが見えなくなってしまうので、それはナシにした。
上着にはおっさんの体温が残っており、保湿性にも優れているため、これ一着でも充分に過ごせそうだった。
階段を上っていくゼンを見る。ツナギ姿しか見たことがなかったので、リエはゼンが筋骨隆々とした体をもっていることに全く気付かなかった。
上腕二頭筋やら、大胸筋やら、腹斜筋やら、ゴツゴツした岩のようになっている。肩甲骨の盛り上がり方も、なんだか別次元のようにリエには見えてしまった。
気持ち悪くはないが、見慣れないので目をそらしてしまう。リエは頭の中の血液がぼこぼこと沸騰するのを感じた。
「……いやいや、なんでついてくるんだよ」
「え?」
途中、くるりと振り返ったゼンはリエを見下ろして、呆れたように目を細めた。ゼンの手にはラジコンを動かす小さな機械のようなものが握られている。
リエが立っていたのは、半研究室・半会議室の性質を持った奇妙な部屋の一部、監視台。遠くて高い場所から機械が正常に動いているかをみる台がある。その監視台からパンツマンを操縦させるのだが、実験体であるリエもついてきてしまったらしいのだ。
「すまん、ボーッとしてた」
「お前のボーッとが、俺の残業延長にもつながるんだからな」
リエは監視台の階段を引き返した。ゼンにしっかりしてくれよ、と言われたのを背中で受け止めて、「しにたい」と思いながらも、実験スペースの中央に棒立ちになる。
ゼンはそれを見てパンツマンのスリープ状態を解除。音もなく、滑らかに動くパンツマン。
機械がジリジリと自分に迫ってくるのを見て、リエは青ざめた。
ゴツくて、なんのポップさもなくて、歯車や電動ホースが不規則に動く、自分の背丈を裕に超す大型機械。言葉にできない不安が胸に押し寄せる。巨人兵に囲まれた気分になる。
……この機械、かなり気色悪い。
というか、こんなの子供が見たら泣くぞ。
「リエ、動くなよ」
ゼンの言葉が聞こえたが、「そんなことどうでもいい!」
リエは声こそ出さないものの、既に半泣き状態だ。体を大の字にして立っているが、出来ることならビンタをしてパンツマンを壊したいところだった。
真っ白なパンツを持った二本の触手が近付いてくる。リエは一歩後ろに、一歩後ろにと距離をとった。
- 金 運: ★☆☆☆☆
- 恋愛運: ★★★☆☆
- 健康運: ★★★★★
- 全体運: ★★★☆☆
ラッキーアイテム
革ベルト
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しまくろしるる(プロフ) - レイチェル・ハジェンズさん» はい、のんびり応援します!レイチェルさんも自分のペースで書いていってくださいねー (2016年11月27日 0時) (レス) id: 5ed7260065 (このIDを非表示/違反報告)
レイチェル・ハジェンズ(プロフ) - しまくろしるるさん» うぎゃー! しまくろしるるさん、御無沙汰しております。読んでくださり、ありがとうございます。頑張って書いていくので、楽しんで読んでもらえると嬉しいです。 (2016年11月25日 21時) (レス) id: f158aaa837 (このIDを非表示/違反報告)
しまくろしるる(プロフ) - 新作おめでとうございます!!すごく面白そうなので楽しみにしてます!! (2016年11月25日 20時) (レス) id: 5ed7260065 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:レイチェル・ハジェンズ | 作成日時:2016年11月24日 22時