3.アイデアを形に ページ3
ゼンのいれたインスタントコーヒーを飲んで、リエの興奮はやっと収まった。興奮というより、暴走か。リエは社長という責任感が常にあるのでじっとはしていられないタイプだが、あんな風に取り乱すことは稀である。
リエもこの“自動でパンツを履かせる機械”の制作に携わった人物である。
読者の皆様にリエの毎日がいかに激務かという事を説明すると、朝から百件以上もの書類に目を通して認め印を押し、取引先の重役との電話やメールも同時並行でこなし、午後からは外商との面会、隣国と行っている貿易の監視、社員や人事部の人間の景気付け、企画書の訂正云云――。
カンタンに言えば、前は両親が分担していた仕事が、一気にひとりの女の手に渡ったのだ。
それに加え、リエの営んでいるオークションマーケットの目玉かつ厄介者、ゼンの面倒を見なければならないのだ。
普通は、作家と編集者のような二人三脚で事は進んで行く。作家がアイデアを形にする仕事なのだとしたら、編集者は作家の創作活動をしやすい環境作りや、アイデアを形にしていく上でのアドバイスなんかをしたりする。
製作者――オークションマーケットの場合、開発者ともいうが――が商品を作り、アシスタントがその材料や試薬を探したり、工具をみつけてきたり、制作に集中できるようにする。良い商品を作るにはチームワークも大事だし、お互いを思いやる心がなくては成立しない。
のだが。
ゼンはもう何十人とアシスタント・チェンジを行って、アシスタント泣かせとまで言われているのだ。ゼンはこだわりが強すぎて、アシスタントの欠点が自分にも響くと感じれば直ぐに、「チェンジ!」と声をあげるのだ。それでこの会社から離れていく若者も多かった。
これには社長であるリエにも手を焼いた。アシスタントを説得しても、「私はもう駄目なんです。あの人にはもう近付きたくもない」と言われっぱなし。
ゼンがこのオークションマーケットで欠かせない存在なのは、この会社では周知の事実だ。ゼンが稼ぎ頭であり、売り上げもいつもトップの座にいる。確かにゼンが開発する商品は独特なセンスと面白さがあり、社員からも一目置かれている。ゼンを解雇させる訳にもいかない。
リエは悩んだ結果、自分がゼンの専属アシスタントになる道を選んだのだった。
- 金 運: ★☆☆☆☆
- 恋愛運: ★★★☆☆
- 健康運: ★★★★★
- 全体運: ★★★☆☆
ラッキーアイテム
革ベルト
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しまくろしるる(プロフ) - レイチェル・ハジェンズさん» はい、のんびり応援します!レイチェルさんも自分のペースで書いていってくださいねー (2016年11月27日 0時) (レス) id: 5ed7260065 (このIDを非表示/違反報告)
レイチェル・ハジェンズ(プロフ) - しまくろしるるさん» うぎゃー! しまくろしるるさん、御無沙汰しております。読んでくださり、ありがとうございます。頑張って書いていくので、楽しんで読んでもらえると嬉しいです。 (2016年11月25日 21時) (レス) id: f158aaa837 (このIDを非表示/違反報告)
しまくろしるる(プロフ) - 新作おめでとうございます!!すごく面白そうなので楽しみにしてます!! (2016年11月25日 20時) (レス) id: 5ed7260065 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:レイチェル・ハジェンズ | 作成日時:2016年11月24日 22時