２．たゆん ページ2
リエの目の前には複雑な仕組みの、変化自在に動く一台の機械がある。サイズは変化自在なので、大型になったり眼鏡ケースのように小さくなったりもできる。
リエは黄色の半袖Ｔシャツにダメージジーンズという格好の上から、油のにおいのする白衣を着ていた。ボタンは留められておらず、ラフな格好だ。
そんな恰好で実験台に腹這いになり、まるで子供の反抗期のように手足をばたつかせるのだから、二十歳と言えども色気もへったくれもない。
ガシャンガシャンと音をたてる、ゼンにパンツマンと命名された機械……今半分は床で、半分は実験台という広範囲に及ぶゴッツイ機械になっているのだが、それと並んでみれば、ない色気はさらに崩壊する。
「うがー！ パンツを履かせる機械ってなんなんだよー！ そんなの開発されてもコッチがどうプロデュースしていけば良いのかわかんないんだよー！」
「まあ、落ち着け」
自分の制作した機械と並んだリエを見て、「垢の抜けない女だな」と思いながら、ゼンは深い溜息をついた。
徹夜続きであるからか、瞼はたゆんと無気力で、目の下にはくまがある。
長すぎず短すぎずのウェーブのかかった黒髪に、浅黒い肌、きりりとした逞しい眉毛に、南国を思わせる彫の深い顔立ち。耳には今にも塞がりそうなピアスの穴が二，三とある。
首にはネックレスのように巻かれたメジャー。着ているのは緑とも青ともつかない色をしたツナギ。胸元をはだけさせているので、今のリエよりも色気がある格好。黄土色の大きな革靴。これ等全て、機械油のせいか黒く汚れていた。
ゼンは疲れた顔色に、ちょっとだけ笑みを含ませた。
「俺だって知ってるよ、魔法でパンツを履かせられるってことは。
でもさ、下着は肌に直接触れるものだろ？ いきなりパンツが自分の股から現れたら、気色悪いって思うだろ？ それを改善してくれる機械なんだよ」
「自分の股から急にパンツが現れてゾッとしてんのはアンタくらいだよ。
この世界はもうおかしくなってんの！
ピーターパンもティンカーベルも空を飛んでるくらいじゃ、子供の憧れの眼差しをゲットできないのと同じなんだよ！」
実験台でいつも以上に喚き始めたリエを見て、なだめるしかないなと悟ったゼンである。
眠る子供に声をかけるように、ゼンは優しく言った。
「……わかった、落ち着こうか。リエ」
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革ベルト
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しまくろしるる(プロフ) - レイチェル・ハジェンズさん» はい、のんびり応援します！レイチェルさんも自分のペースで書いていってくださいねー (2016年11月27日 0時) (
レス) id: 5ed7260065 (このIDを非表示/違反報告)
レイチェル・ハジェンズ(プロフ) - しまくろしるるさん» うぎゃー！ しまくろしるるさん、御無沙汰しております。読んでくださり、ありがとうございます。頑張って書いていくので、楽しんで読んでもらえると嬉しいです。 (2016年11月25日 21時) (レス) id: f158aaa837 (このIDを非表示/違反報告)
しまくろしるる(プロフ) - 新作おめでとうございます!!すごく面白そうなので楽しみにしてます!! (2016年11月25日 20時) (レス) id: 5ed7260065 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：レイチェル・ハジェンズ | 作成日時：2016年11月24日 22時
