【歌い手】＿きみのいろ＿#9【ROC】 (ページ48)

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407話ページ48

花「Aちゃんとはどこまでいったの?」

ぼんやりしていると、突然そんなふうに訊かれた。

ｋ「体育祭の少しあとの土曜日に、いっしょに出掛けました」
花「デートって言いなさいな」
ｋ「は、恥ずかしいじゃないですか…」

初めていっしょに出掛けたとき
＿＿デート、したときと同じように、まず映画を見て、それから昼ご飯を食べた。

前みたいに行き当たりばったりでなく、れをるにおいしい店を教えてもらって
部活のクリパの時に渡したいから、さりげなく、先輩の欲しそうなものに探りを入れて

先輩の手が、ゆらゆらしているのを
「繋いでもいいですか」って訊いたら

恥ずかしそうに、手のひらを俺の方に寄せてくれた。

ｋ「これ、先輩が俺にくれたんです」

左腕の手首につけたリストバンドを、花さんに見せるようにした。
２つめのドーナツの最後を口に放り込む。

花「あら素敵。いいわね、もちろんデザインもだけど、
　好きなひとからもらったもの、っていうのがとっても素敵」

好きなひとからもらったもの

(…じゃあ)

俺が先輩に渡したネックレスは

――あれは、いったいどんなものになるんだろうか

(うれしそうに付けてくれるんだよなぁ)

花「告白はしたんだものね～」
ｋ「あの、なんで知ってるんすか」
花「お姉さまの情報網を侮ってもらったら困るわ」

ｋ「れをるでしょ」
花「いやん」

通りがかった店員に、花さんがコーヒーのおかわりを頼んだ。

花「次の手は考えてあるの?」
ｋ「手?」

手段よ手段、と言い、提案をするように右手の人差し指をぴんと立てる。

花「あの鈍～い子がこのままであなたにメロメロになると思う?

　もちろんくーらーくんは見た目も中身も男前よ、その上ちょっと子供っぽいとこもあって、
　きちんとギャップをわきまえてるわ」

突然ベタ褒めをくらって恥ずかしいので、もくもくとドーナツを頬張る俺。

花「だけどね、敵は多いわよ」
ｋ「そうなんですよねー…」
花「どうするつもり?」

(どう…しよう……)

手を繋いだときの反応や
アクセサリーをあてて見せてくれた時に「かわいいです」って伝えた時の反応から思うに

前よりずいぶん、異性として意識してもらえてる手ごたえはあるけど
うーん…ここから先って、どうしたらいいんだろ?

花「“押してダメなら、引いてみろ”よ!!」

飲み下す。花さんと違っておこちゃまな俺は
ミルクと砂糖をいれてあるコーヒーを、ちびりちびり、飲んでいた。

ｋ「と、言いますと?」