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385話 ページ26

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夏「ねぇってば!!」


『わっ!?近いよバカ』
夏「おめーが何べん呼んでも返事しないんじゃんか」

両肩を押し返したら、案外かんたんに離れていった。

夏「ぼんやりにもほどがあるでしょ」
『いつもだもん』
夏「1日中ってことなかっただろ」

(そりゃまあ、確かに)

理屈がわかって納得がいっても、嫌なものは嫌なんだ

さっきの終礼で、クラスの委員長がみんなで書いた寄せ書きを渡した。
それっぽいことを言って、先生は2年3組を去っていったところだ。

もうとっくに掃除が始まり、りぶくんに「ほうきの邪魔だから他所でイチャイチャしてよー」って茶化される。

ごめんりぶくん、私、今そういう元気ないんだ

行くぞと言って、自分のやつの他に私のリュックも背負う。
孝明くんの腕に肩を抱き寄せられ、とぼとぼ、部室へ向かって歩き出した。


夏「Aってやっぱ相当わがままだよなぁ」

『うるさいなー…』

5組の教室の前。
そういえばゆりんくん、迎えに来なかったな

『…わかってるよぅ』

階段を上がり2階につく。角を曲がって、渡り廊下を歩きはじめたところで
孝明くんに、ぱなまん先生が自分を特別扱いしてくれてるという勘違いの話をした。

話ながら、やっぱり自分はわがままで自己中で、恥ずかしいヤツ、って思った。


夏「俺には十分特別扱いに見えたけどな」
『どこがー?』

夏「教えてやんない」

肩の腕をそっとほどいて距離をとる。階段の途中で立ち止まった彼から
私は私のリュックを受け取り、2、3段上る。

そうしてやっと同じくらいの目線の高さになるから。


夏「僕は絶対Aのこと特別に想ってるよ」


小声で、知ってるだろうけど、って。
孝明くんにこういうふうにやさしくされるのは、誰にやさしくされるのよりも、むずがゆい。

(なんて言えばいいんだろう)

(どうすればいいんだろう)

ぱなまん先生は、こんなとき、どうするんですか


『ありがと』

夏「うん」

満足そうに笑う。たぶん、今はこれが1番いいんだ。
これからどうするかは、これから考える。



*****



「忘れ物ないかな?」

しゅーず先生がきょろきょろしながら訊いてくる。
はい、大丈夫ですと返事をして、頭をさげた。

し「ほんとに音研寄って行ってくれないの?」
ぱ「すみません。名残惜しくなっちゃうので、勘弁してください」

それに俺、きっとここに戻ってきますから
そう言うと笑ってくれた。しゅーず先生は、本当に素敵な先生だと思う。

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アゲハ @ 元HIKARU(プロフ) - 続編おめでとうございます!!!体育祭、楽しみです!!これからも応援しています。いつも素敵なお話をありがとうございます(*^^*) (2017年4月14日 17時) (レス) id: cd624d2203 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:モノクロメロディ―。@ついった | 作成日時:2017年4月13日 22時

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